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『ミッション:インポッシブル』イーサンとグレースの恋愛描写は「古臭いから」 ─ ヘイリー・アトウェル単独ロングインタビュー

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ヘイリー・アトウェル 来日インタビュー
©︎ THE RIVER

スパイ映画における女性キャラクターのあり方は長年、退屈で平面的なものだった。ところが近年では、より立体的で、深い複雑さを持ったキャラクターも多くなっている。「それは、観客が求めているものが変わってきているからだと思います」とアトウェルは考える。「白か黒か、善か悪か、そういう単純さではなく、もっと深みがあって、自分自身を重ねられるようなキャラクターを観客が求めているのです」。

そこに真の創造性が眠っている。「観客が求めているものを作りつつも、求めていたことに気付かなかったようなものも作りたい」とアトウェルはグレース役に込めた思いを話す。「それに、人間って矛盾を抱えた存在ですよね。人間とは絶えず進行中のものであり、厄介でもあります。でも同時に、勇気や恐れを示すことや、ニュアンスや繊細さを示すこともできる。そして、ストーリーの中で大きな姿を示すことができる。そこにリアルさがあるのです」。

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ヘイリー・アトウェル 来日インタビュー
©︎ THE RIVER

前作『デッドレコニング』では、イーサンがグレースについて身元調査を行う中で、彼女が孤児で、お金のない育ちであることが示唆された。「だから彼女は、生きるために盗みを働いてきた。そして、自分には盗みの才能があることがわかって、それで成功した過去があるのです」。

グレースのオリジン・ストーリーを探求するのも興味深いだろう。「私の解釈としては」、とアトウェルは考えを披露する。「彼女が誰も信用せずにたった一人で生きてきたのには、幼少期に何か原因があったと思うんです。何か理由があって、人との関わりを断ち、自分だけを信じて生きていくという決断に至ったはず。それはとても悲しいことで、彼女には悲しい過去があるのだと思う。だからこそ、彼女はしなやかで、超警戒的で、サバイバーでありファイターになったのだと思います。彼女の裏には、何か悲しい事情があることは間違いないでしょう」。

前作『デッドレコニング』は当初、副題に『PART ONE』と付けられており、『ファイナル・レコニング』との二部作であることがより直接的に明示されていた。この2作は1996年に始まった世界的シリーズの集大成であり、アトウェルはそのど真ん中に突如としてメインキャラクターの一人として参加した。「もちろん不安もあった」とアトウェルは振り返るが、トム・クルーズとクリストファー・マッカリー監督が寛大に迎え入れてくれたからこそ、安心することができた。「それまでに6作もを重ねてきているからこそ、彼はこのシリーズのジャンル性やトーンについて、熟知している。そして、どんな観客が観ているのかも知っている。だから、彼らが望む形でグレースというキャラクターを作ることに全力になれました。彼らを信頼しているからこそ、安心して演じることができました」。

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ヘイリー・アトウェル 来日インタビュー
©︎ THE RIVER

製作期間中は、「いつでも、誰からの相談にも乗ってくれる」というトム・クルーズの飾らない親切さが身に染みた。「すごく正直に接してくれるので、どんなことでも安心して聞くことができました。ある時、私が『どうしてかわからないけど、ときどき、人と接するのがすごく不安で怖い感じることがある』と聞いたことがあるんです。『あなたもそう感じることはありますか?そういう時はどうしていますか?』とね」。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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