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【ネタバレ】『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』幻の別エンディングとは ─ トム・クルーズ、結末に並々ならぬこだわり

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

この記事には、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のネタバレが含まれています。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

トム・クルーズ「クリフハンガーはダメだ」

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のクライマックスは、猛スピードで疾走するオリエント急行の車内で展開する。全世界の脅威となるAIのソースコードにつながる鍵の半分を手に入れるため、イーサン・ハント(トム・クルーズ)とグレイス(ヘイリー・アトウェル)が列車に乗り込むのだ。この時、グレイスはホワイト・ウィドウのマスクをかぶり、IMFのもとで初めてのミッションに挑む。

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しかし、編集を担当したエディ・ハミルトンが米Varietyに語ったところによると、もともとこのシーンにはグレイスがIMFを裏切るバージョンが存在したという。グレイスはイーサンやルーサー(ヴィング・レイムス)、ベンジー(サイモン・ペッグ)を落ち着かせ、単独で列車に乗り込むのだ。そして鍵の買い手=ユージーン・キトリッジ(ヘンリー・ツェニー)から金を入手し、自らの置かれた状況から脱出しようと試みる……。

もしもこの結末がそのまま採用されていたら、映画の後味は完成版とはまったく異なるものになっていただろう。ハミルトンいわく、この結末が採用されなかったのは「試写の観客がこの結末を気に入らなかった」ため。その後、完成版のアイデアが考え出されたのだという。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
©2023 PARAMOUNT PICTURES.

クリストファー・マッカリー監督も、英Total Filmにて「どこで映画を終わらせるかはあらかじめ決めていたが、どう終わらせるかはまるで決まっていなかった」と語る。イーサンが列車を離れる間際、グレイスに温かい別れの言葉をかけるシーンは、なんと本作の撮影が始まってから2年後に撮られたもの。「トムはもう『PART TWO』の髪型になっていたので、ここではウィッグをかぶっていたんです」という。

またマッカリー監督は、製作中にトムが繰り返し口にした言葉を振り返っている。それは「クリフハンガーはダメだ、十分満足できるものにしなければ」ということ。クリフハンガーとは、続きの展開が気になるように、あえて展開を“引っ張る”結末にする作劇手法のこと。トムは拒否したものの、シリーズものの映画はこの結末を採用する作品が少なくない。

トムはあのシーンをずっと観続けていて、満足できる結末なのか、それとも宙ぶらりんだと感じられるのかを心配していました。だから、常にやり直して改善していったんです。クリフハンガーで終わらせると、観客が続編を観に来ることを僕たちが期待しているように感じられてしまう。僕たちが求めたのはそうではなく、むしろ“戻ってこなくてもいいよ”とけしかけること。それでいて、きちんと続きが気になるものにすることでした。」

ちなみに、グレイス役のヘイリー・アトウェルは、グレイスが金を持ち逃げしないと決意することを「償いの瞬間」だと形容する。「(ホワイト・ウィドウのマスクを脱ぐことで)彼女は映画前半の古いアイデンティティを脱ぎ捨てるんです。“もし金を盗んだら、鍵を渡すよりも大変なことになる”と気づくんですよ」。クリフハンガーは回避されたが、まぎれもなくグレイスの物語は『PART TWO』へと続くことになる。

映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』は公開中。

Source: Variety, Total Film

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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