『ミッション:インポッシブル』新作に復帰するキトリッジって? ─ シリーズ1作目をおさらい

トム・クルーズ主演、『ミッション:インポッシブル』シリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』では、第1作でユージーン・キトリッジ役を演じたヘンリー・ツェニーが実に26年ぶりに復帰する。『デッドレコニング PART ONE』では大きな役割を担うキトリッジは、第1作ではどのような展開をもたらしたか?キャラクターやトム演じるイーサン・ハントとの関係性をおさらいするとともに、演じるツェニーのキャリアや、キトリッジのシリーズ復帰に関するエピソードなどをご紹介しよう。
IMF監査官 ユージーン・キトリッジとは?
『ミッション:インポッシブル』(1996)の内容が含まれています。
キトリッジはシリーズ第1作『ミッション:インポッシブル』(1996)で、IMF(不可能作戦部隊)を監督するCIAエージェントとして登場。IMFベテラン工作員のジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)が、東欧で活動するCIAの非公式工作員のリスト「ノック(NOC)」を盗み出そうとしている大使館職員に対する防諜任務を命じられたのは、彼のチームに裏切り者がいるだろうと察知したキトリッジによるものだった。
イーサンたちが盗み出したリストは実は偽物で、裏切り者をあぶりだすことが任務の目的だと知らされたイーサンは、チームの唯一の生存者ということで、キトリッジから内通者の嫌疑をかけられる。逮捕されそうになる直前でイーサンは逃亡し、自身の潔白を証明するために、真の内通者と、その人物が情報を売ろうとしていた「マックス」と呼ばれる武器商人を探り始めることとなる。イーサンは一流ハッカーのルーサー(ヴィング・レイムス)、クレア(エマニュエル・ベアール)、パイロットのクリーガー(ジャン・レノ)らと共に、CIA本部にあるリストを盗み出すことに成功し、ロンドンへ逃亡する。
その後もキトリッジはイーサンの実母と叔父を偽の麻薬密売容疑で逮捕して、イーサンをおびき出そうとするが、イーサンはあえて自分がロンドンにいる痕跡を残す。そこではプラハで撃たれたはずのフェルプスが実は生きており、キトリッジこそが内通者だとイーサンに伝えるが、イーサンはすでに内通者はフェルプスだという確信を得ていた。イーサンがマックス(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)にリストを渡す取引場所としてパリ行きの特急電車TGVユーロスターを指定すると、予想通りフェルプスもそこに現れる。イーサンは眼鏡に仕掛けたカメラでフェルプスの映像をキトリッジの腕時計型モニターに送信し、フェルプスが生存していたこと、そして真の裏切り者であったことを明かす。攻防の末にフェルプスは命を落とし、イーサンは難を逃れる。キトリッジは列車内のマックスを逮捕し、イーサンに対しIMFへの復職を促すが、イーサンは組織には戻らないとその場を去るのであった。
シリアスなドラマからライトなコメディまで ─ ヘンリー・ツェニーのフィルモグラフィ
イーサンにリストをコピーされた責任を負わせるべく、金庫室の管理者であったダンロー(ロルフ・サクソン)をアラスカに飛ばし、イーサンをおびき出すためには家族を手玉に取るなど、目的のためには手段を選ばない、容赦ない非情さを備えるキトリッジ。しかし、イーサンを決して見くびることなく、任務の遂行という一貫したビジョンの持つキャラクターを、ツェニーは好演している。
カナダ出身のツェニーはオタワのナショナル・シアター・スクールで演技を学び、多くの舞台に立った。ハリソン・フォード主演『今そこにある危機』(1994)やアン・リー監督による『アイス・ストーム』(1997)などシリアスなドラマから、『ピンクパンサー』(2006)『ゾンビーノ』(2007)などのコメディ作品まで、演じる役柄や作風は幅広い。また、『手紙は憶えている』(2015)ではアダム・エゴヤン、テレビミニシリーズ「シャープ・オブジェクツ」(2018)では故・ジャン=マルク・ヴァレ、『The Righteous』(2021)ではマーク・オブライエンなど、カナダ出身の映画監督とのタッグにも定評がある。
26年ぶりとなるキトリッジ復帰、その背景
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ベテラン俳優として安定した実力を誇るツェニーだが、キトリッジ再演のオファーには非常に驚いたそうだ。
「最初は冗談かと思いました。担当者が電話で、キトリッジに復帰してほしいと言うものですから。私はロサンゼルスで渋滞と格闘したり、税金関係の書類をシュレッダーにかけたりと用事を片付けている最中だったんです。『OK、どういうことですか?』と訊くと、『クリス(クリストファー)・マッカリーがキトリッジの復帰についてあなたと話したがっていますよ』って言うので、真剣に捉えました。そして2日後にクリス・マッカリーに電話をしたんです。」
ツェニーいわく、第5作『ローグ・ネイション』(2015)よりメガホンを取っているマッカリーは、かねてからキトリッジを復帰させたいと考えていたのだそうだ。これまでにどんなアイデアが浮上していたのかツェニーは明かさなかったが、『ローグ・ネイション』でアレック・ボールドウィンが演じたCIA長官、アラン・ハンリーが第6作『フォールアウト』(2018)ではIMF長官となっていたことに触れつつ「アレックが登場し、ハンリーを演じたことにわくわくしました。間違いないですね。あれは素晴らしかった、大好きでしたよ」と言及している。
ツェニーは以前、インタビューにて「彼は全ての機関をある程度経験して、国家情報の仕組みの中で自分がどのような立場にいるのかをよく理解しているはず」とキトリッジに対する解釈を述べている。
予告編映像にてキトリッジがイーサンに「このミッションで君は全てを失うだろう」と告げるのには、彼が空白の25年に目にしてきたこと、そしてこれから起こり得る事態に対する警告、あらゆるものが集約されたような重みがある。映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』は公開中。
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Source:Variety