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【ネタバレ】『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』予告編の構成、トム・クルーズの優しいアイデアが採用されていた

ミッション:インポッシブル/フォールアウト
© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

映画『ミッション:インポッシブル』シリーズは、俳優トム・クルーズがプロデューサーとしての才覚を存分に発揮する作品だ。エンターテイナーとしての全姿勢をつぎ込んでいるからこそ、自分自身が身体を張ったスタントにも臨むのだろう。おそらく自分がプロデューサーに名を連ねていなければ、あれほどの撮影にスター俳優が挑戦することもないはずだ。

そんなトムは、シリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の予告編に、とある“優しい提案”をしていたという。実際に採用されたというアイデアはどういったものだったのか、なぜトムはそんな提案をすることにしたのか? クリストファー・マッカリー監督が明かしている。

注意

この記事には、映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のネタバレが含まれています。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト
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「予告編で悪役を明かす」という仕掛け

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の予告編にトムが求めたのは、なんと“本編の悪役を予告編の時点で匂わせる”ということ。通常、映画の予告編は物語の重要な部分を明かさないように作られるもので、とりわけハリウッドの大作映画はその傾向が強まっている。しかし本作の予告編では、CIA捜査官オーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)が悪役である可能性が確かに示唆されていた。英Empireのポッドキャストにて、クリストファー監督はトムとの話し合いをこう振り返っている。

“やりたくないことがひとつある。彼が悪いヤツだとわかった時に、観客をガッカリさせたくない”って、トムが言うんですよ。“(イーサン・)ハントとウォーカーの見せ方を失敗すれば、観客は映画の最後に二人が仲間になることを期待するだろう。そうすると映画の最後にガッカリされてしまう、そしたら終わりだ。でもそこをダイナミックに構築して、美しい友情の始まりじゃないってことを示そう。ひどい終わり方をすることを”って。彼は正しかったですね。彼の直感は本当に正しかった。」

すなわちトムは、“仲間であるかのように思われていたウォーカーが悪役だった”という形のどんでん返しを良しとはしなかったのだ。“観客をガッカリさせたくない”というトムの信念は、とにかく観客が期待するものを見せる、逆に本編で観られないものは予告編の時点から期待させないという姿勢を取って表れている。予告編ではウォーカーを仲間のように見せておき、本編で裏切るというアプローチも可能だったはずだが、そちらが選ばれることはなかったのである。思えば、ウォーカーがヘリコプターから身体を乗り出して銃を撃つ場面は予告編の中でも特に印象的なショットだっただろう。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト
© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

ちなみに本作には、ウォーカーが悪役であることを事前に察知していてもなお観客を驚かせる仕掛けが用意されていた。本作のいささか複雑な劇構造も、予告編で悪役の存在を事前に示唆しておくことが問題にならない理由だったといえそうだ。

ところで筆者の場合、「大作映画の予告編には引っかけが多い」という先入観のせいで、ウォーカーが敵のように見えることすら予告編ならではのウソだろうと思いこみ、一周して本編で驚かされるはめになってしまった。同じ感想をお持ちの方もいらっしゃるのでは…?

映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は2018年8月3日(金)より全国の映画館にて公開中

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』公式サイト:http://missionimpossible.jp/

Source: Empire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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