日本未公開の傑作・怪作を集めた映画祭「未体験ゾーンの映画たち2017」のラインナップがすごい
世に生み出される映画は数知れず。しかしその大半は、私たちのもとにやってくることはありません。
何故でしょう。それは、映画がビジネスだからです。たとえば豪華なキャストとウケのいいストーリーの作品であれば、収益が期待できるので、配給会社が買い付け、予算を立てて宣伝をし、全国の映画館へ配給し、私たちのもとに届けられます。逆に言えば、売れる見込みが立たなければ日本に入ってくることすらないのです。
そんな日本にやってこなかった作品たちが集まる映画祭、それが2017年1月7日よりヒューマントラストシネマ渋谷で開催される「未体験ゾーンの映画たち」です!(1月21日よりシネ・リーブル梅田でも開催予定)

2012年より始まったこの映画祭は今年で6回目。有名監督が携わった作品から、マニアにはたまらない超B級作品までラインナップは様々です。大人の事情で見られなかった素晴らしい作品たちを、この機会にスクリーンで鑑賞しましょう。本記事では、公開作品のうちから筆者オススメの作品をご紹介します。どれも期待の作品ばかりです!
『ロスト・エモーション』
舞台は近未来。世界規模の戦争によって地球の大部分は破壊され、人類はわずかしか残されていませんでした。人々は平和を生むために、戦争を引き起こす“感情”を抑制し、完全に統制された社会で生きることを選ぶが……というお話。なんと本作、あのリドリー・スコットが製作総指揮なのです! 映像作家として、あまりのストイックっぷりに関係者からも恐れられていた人物が参加しているからか、予告編を見ても美しい画ばかり。名作SF映画『ブレードランナー』を手がけた監督×近未来SF、と聞けばもう間違いないですね。
『バック・イン・タイム』
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ファンなら見逃すわけにはいかないでしょう! あの名シリーズの製作秘話からアメリカ社会に与えた影響までを、スタッフ・キャストの撮り下ろしインタビューから紐解いたドキュメンタリー映画です。ファンの多いシリーズにもかかわらず、本作が日本公開されなかったのは、やはりドキュメンタリー映画というジャンルが売れにくいゆえでしょう。ファンの方々は、自らの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』愛をさらに深めるため、是非ご覧になってください!
『スイッチ・オフ』
世界中から突然電力が消え、水道やガス、全てのインフラが機能しなくなったら我々の住む社会は一体どうなってしまうのか。ふたりの姉妹が主人公のサバイバルドラマです。あらすじを見ると、世界規模の大停電で荒廃した世界を描いたアメリカ制作のSFドラマ『レボリューション』が思い浮かびますが、本作の原題は『Into the Forests』。世界的パニックの中、森の中で生き延びる主人公の姉妹に焦点が絞られた、よりディープなドラマが期待できそうです。
主演のひとり、エレン・ペイジは『X-MEN』シリーズや『インセプション』で、あどけなさを見せながらも心の奥底に秘めた力強さを感じさせる演技を見せてくれました。本作の「サバイバル」という状況設定には最適なキャスティングですね。
『クレイジー・ナイン』
2015年公開の香港映画。深夜のコンビニにクレイジーな9人がいて……って、ちょっと待て、『ヘイトフル・エイト』みたいな設定じゃないか! しかし白銀の世界に囲まれた山小屋とはうってかわって、こちらは深夜のコンビニエンストア。登場するキャラクターも、とても切れ者とは言い難いようなイケてない奴ばかり。
監督のファイヤー・リーは元MV・CM作家ということで、予告編を見ても、その鮮やかな色彩とコミカルな表現に心惹かれます。『ヘイトフル・エイト』同様、中身もバイオレンス満載ということでタランティーノファンも必見です。アジア映画も凄いですよ!
そのほか、『スター・ウォーズ』でダース・ベイダーのスーツアクターを務めたデヴィッド・プラウズに迫るドキュメンタリー『アイ・アム・ユア・ファーザー』や、『ボーダーライン』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による問題作『静かなる叫び』など、ここで紹介した以外にもあなた好みの作品が必ずあるはずです。新年は今までにない「未体験」を是非味わってみてください!
Eyecatch Image: http://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2017