『バック・トゥ・ザ・フューチャー』マーティ役、功績を実感したのはつい最近だった ─ 俳優引退後に語る願い

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ3部作は、SFタイムトラベル映画の金字塔として1985年の誕生から37年が経過した2022年現在でも、世代を問わず愛され続けている。カルチャー面でも大きな影響を与えた本シリーズは、主人公マーティ・マクフライの等身大の姿があったからこそ、多くの共感を呼んできた。
しかし、マーティを演じたマイケル・J・フォックスは、最近になって初めて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の“味”を知ったという。2作目の時代設定としても登場した2015年には、ドク役のクリストファー・ロイドとともに同役を再演するなど、マイケル本人にとっては卒業後も身近な存在だったであろう『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だが、彼がその真価を実感したのは3部作が完結してちょうど30年後のことだった。
2021年12月、マイケルは米AARP The Magazineとのインタビューで、ふとした時に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズと再会したエピソードを語っている。2020年、クリスマスのことだ。
「たまたま昨年のクリスマス、テレビで見かけたんです。これまで自分で思っていたよりも、すごく良いじゃないかと思いました。もっと大切なのは、映画の精神を理解できたことです。これまでに成し遂げたことで称賛されるべきだって自分でも理解したんです。そして、時には一歩引いて、その後に過ごした残りの人生が最高で、これからもまだまだ先はあるんだということに感謝しなければいけないと思います。」
マイケルは、その影響力を実感してもいる。「たくさんの偉大なギタリストが僕のところにやってきて、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のジョニー・B・グッドのシーンのおかげでギターを手に取り始めた、と言ってくれます」。「ジョニー・B・グッド」といえば、伝説のギタリスト、チャック・ベリーのヒット曲で、後先考えずに夢中でギターをかき鳴らす、その純粋かつアツいマーティの姿は、映画史に残る名シーンだ。現代の三大ギタリストとも称されるジョン・メイヤーもマーティに憧れてギターを始めた一人。マイケルも「もしこの人生で何かを成し遂げたとしたら、それはジョン・メイヤーにギターを取らせたことです!」と話しており、功績を誇りに思っているようだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』卒業後、マイケルはパーキンソン病と闘いながら、俳優活動を継続してきた。そして2020年11月、出版した回顧録で俳優引退を表明した。マイケルが語った先の出来事が起こったのは、この後のクリスマス。当時抱いた思いは本人のみぞ知ることではあるが、俳優というキャリアに別れを告げたマイケルは、いちファンとして自身のかつての姿と向き合うことができたのではないか。
俳優引退からちょうど1年が経ったタイミングで行われたこのインタビューで、マイケルはある願いを明かしている。そして、その願いは世界にしっかりと届いているはずだ。
「私の子どもたちが、世界に良い影響を与える存在になっていることを願います。皆が僕の作品を観て、そこから何かを得てくれたら嬉しい。より深いレベルで言えば、僕の言動の中に真実を見出してくれることを祈っています。もし僕がパーキンソン病を患った方を助けることができていたら、それも最高です。財団を助け、人生や世界を変えることができるかもしれない、何か力強いものの一部になれるという目的と機会に感謝します。」
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Source: AARP The Magazine