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『マッドマックス 怒りのデス・ロード』続編製作困難か ― ワーナーと製作会社の訴訟が泥沼化

マッドマックス 怒りのデス・ロード
Photo by DAVID HOLT https://www.flickr.com/photos/zongo/17584997916

トム・ハーディ主演、ジョージ・ミラー監督による映画マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)の続編製作に暗雲が立ち込めている。世界中で大ヒットを記録し、第88回アカデミー賞で6部門を受賞するなど高く評価された本作は、これまで続編の企画が認められながらも進捗がみられない状況となっていた。

ことの原因となっているのは、本作の配給を担当した米ワーナー・ブラザース社と、ジョージ監督の設立した製作会社であるケネディ・ミラー・ミッチェル社が訴訟に突入していることだ。
2017年11月、両社は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の製作費をめぐって見解が対立。1億5,700万ドル以下で映画を完成させた場合、ケネディ社に700万ドルの追加報酬が支払われるという約束が達されていないとして、同社はワーナーを提訴したのである。ケネディ社は製作費が1億5,460万ドルだったと主張しているが、ワーナー側は1億8,510万ドルかかったとして支払いを拒否。裁判は本作の製作国であるオーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ最高裁判所にて行われている。

このたび豪The Sydney Morning Herald誌は、この裁判の最新情報を伝えている。ケネディ社はワーナーと徹底的に争う構えで、ワーナー側の対応を「高圧的で、侮辱的で、非難に値する」と激しく批判。追加報酬が支払われなかったことなどから信頼関係は失われ、「今後いかなる作品も共同製作することができなくなった」として、続編の製作が困難であることを示唆した。ケネディ社による主な主張は以下の通りである。

  • ワーナー側から脚本にあるシーン(イモータン・ジョーのシタデル砦などを含む)を撮影しないよう、また新たなシーンやエンディングの撮影を行うよう要請があった。
  • 監督による「粗編集版」が完成した際、既存のシーンを削除して追加撮影を行うなどの判断がワーナー側から下され、作品の大幅な変更や製作の遅延が生じた。
  • ワーナーは本作の試写を10回以上行い、そのたびに作品の変更を求めた。
  • 2013年、ワーナーは追加撮影にかかる3,100万ドルの予算を承認した。その予算は映画全体の製作費には含まれないことになっていた。

ところがこの申し立てに対して、ワーナーは真っ向から反論している。

  • 本作ではスタジオ(ワーナー)の承認がないまま、製作会社(ケネディ社)によって多額の追加費用が発生し、予定の製作費を大幅に超過することとなった。
  • 2012年の撮影中、スタジオが変更を求めていない時点で、製作は遅延し製作費は膨大なものとなっていた。
  • スタジオは別のエンディングを提案したのであって、強く要求はしていない。
  • 本作は予定の製作費とスケジュールで完成しなかった。公開日は結果的に14ヶ月延期され、製作費は予定より3,100万ドル増加して1億8,510万ドルとなった。

ここで鍵となるのは、追加撮影にかかった3,100万ドルだろう。この予算について、ケネディ社は「ワーナーが承認したもの」と主張しているが、ワーナーはそれを受け入れていないのである。

こうした泥沼化した状況の中、2018年4月12日(現地時間)、ジョージ監督はオーストラリア国立演劇学校(NIDA)にて今後の活動について語っていたという。監督によれば、同作の公開以後、新作のために複数の脚本を準備してきたそうだ。「たくさんの選択肢がありますよ」と述べた監督だが、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』続編については「未来のこと」であり、今はわからないと話したという。

しかし、ワーナーとケネディ社が争っているかぎり『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の続編が製作されることはないだろう。「今後いかなる作品も共同製作することができなくなった」とまで言わしめているあたり、ケネディ社、ひいてはジョージ監督の怒りは相当のものとみられるが、両社が和解する結末は待っているのだろうか……。
もし和解に至らなかった場合、シリーズ4作品の配給を手がけてきたワーナーを抜きにして続編を作ることは権利上可能なのか、またジョージ監督不在の『マッドマックス』がありうるのかということも大きな問題となりそうだ。

Sources: SMH, Collider
Eyecatch Image: Photo by DAVID HOLT

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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