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スパイダーマン『モービウス』は「光と闇の闘い」描く ─ 治療のために倫理を踏み外す天才医師、ジャレッド・レトが魅力語る

モービウス
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米ソニー・ピクチャーズ製作、『スパイダーマン』シリーズから派生する映画『モービウス』で主演を務めるジャレッド・レトが、コミック映画への初主演にあたって、自身の演じる天才医師マイケル・モービウスについて語った。

幼い頃から血液の難病を患っているモービウスは、多くの患者を救いながら、己の病を治す方法だけを見つけられずにいた。命の残り時間が迫る焦りの中、モービウスは、“これが最後のチャンスかもしれない”と禁断の治療に手を出す。それはコウモリの血清を使い、自らを人体実験の材料にするというものだった。

IGNにて、ジャレッドは「モービウスという男はすごく複雑なキャラクターで、そこにとても惹きつけられました」と語っている。

「生まれてこの方、多くの葛藤を抱えている人なんです。恐ろしい病とともに生まれながら、本物の才能を持ち合わせている。若い頃は科学や薬に強い関心を持ち、自分自身の病や、自分と同じように苦しんでいる人々の治療に人生を捧げようと決めたわけですが、その途中で地獄の口が開いてしまうんです。」

実験の代償として、モービウスの肉体は恐るべき変貌を遂げていく。圧倒的な怪力とスピードを手にし、周囲の環境を感知する能力を手にしながら、血液を求める衝動を抑えきれなくなっていくのだ。そしておそらくは、他者の血を吸うことによって、自分の生命を維持するのである。特筆すべきは、彼が“科学によって生まれた怪物”であるということ。どちらかといえば、ドラキュラよりもフランケンシュタインに近い存在なのだ。

「ずっと死にかけの人生だった。けれども今、生きているのを実感している」。これは劇中でモービウスが口にするセリフだというが、ジャレッドは「これこそが本質だと思う」と語る。「ひどい病に苦しみ、挑戦を続け、治療法を求めてきた男が、いきなり力と肉体的な強さを手にする。素晴らしいことだけれど、そこには別の一面、ダークサイドがあります」。

才能あふれる優秀な医師だったモービウスは、自らの病を治すため、患者を苦しみから救うために戦ってきた。しかし、治療への思いが彼を変貌させ、むしろ罪なき人々を殺す方向へと突き動かしてしまうのだとしたら……。予告編には「この治療は病よりもひどい」との言葉が登場するが、これを悲劇と呼ばずして、いったい何を悲劇と呼ぶのだろう。ジャレッドは、モービウスが直面するのは「光と闇の闘い」だと語る。

モービウスの内側には道徳的な人間が、善い人間がいます。最終的には、善と悪との普遍的な戦いなんです。そして、最後に勝つのはどちらなのか。これがこの映画の面白いところです。僕たちは視界の晴れた道を行くわけではありませんよね。何が正しくて、何が間違っているのかという明快な基準はなくて、そこにはグレーゾーンがある。モービウスは欠点のある人間で、昔ながらのスーパーヒーローではありません。非常に複雑なキャラクターで、欠陥がある。特に気に入っているのは、誰でもそうであるように、課題や問題をたくさん抱えた人物として描いているところです。」

出演者はジャレッド・レトのほか、『6アンダーグラウンド』(2019)「グッド・オーメンズ」(2019)のアドリア・アルホナ、「ドクター・フー」11代目ドクター役の(2010-2014)を演じたマット・スミス、「マッドメン」(2009-2012)「チェルノブイリ」(2019)のジャレッド・ハリス、『ワイルド・スピード』シリーズのタイリーズ・ギブソンら。監督は『ライフ』(2017)のダニエル・エスピノーサ、脚本は『キング・オブ・エジプト』(2016)『パワーレンジャー』(2017)のマット・サザマ&バーク・シャープレスが執筆した。

映画『モービウス』は2020年全国ロードショー

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Source: IGN

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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