【インタビュー】『シンクロナイズドモンスター』監督は松本人志マニア!「『大日本人』の影響受けたよ」

「今日の僕はSF男だよ!」──スペインの鬼才は、ノートPCのスクリーンの中で、アップル・シナモン・フレーバーのVAPE(電子タバコ)の煙をモクモクと吐きながら笑っていた。「日本の皆とTV電話で話して、巨大なピルを持って(Beats Pill ワイヤレススピーカー)、VAPEを吸っているんだからね。」
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「どうしても怪獣映画を撮りたかった」
「僕は若い頃から、怪獣映画を撮りたいと思っていた。もうね、どうすれば低予算で怪獣映画を撮れるだろうかと、ずっと考えていましたよ。そこで、“怪獣パニックが遠いところで起こっている”というアイデアを思いついたんです。モンスターがアジアの美しい街を破壊している。それを遠く離れた地から、テレビのニュースとして見ていることしかできないというね。
たとえば、福島で災害がありましたよね。あの時も、僕たちはテレビで観ていた。そんな風に、怪獣による被害を離れた地でテレビで観ながら心配する、視聴者目線の映画を作ったらどうだろうと考えたんです。だからこれはモンスター映画であり、災害映画であるけれど、同時に”距離”がテーマとなった映画です。」
ナチョ監督が東日本大震災の例を挙げたように、”遠隔地で起こった災害を、テレビを通じてリアルタイムで目撃する”ことは間違いなく誰もが身近に経験したことがあるはず。しかし、身近であることと、関与することは全く異なるだろう。『シンクロナイズドモンスター』は、登場人物がその境界線を超えていく様子が描かれる。
「ちょうど2週間前も、ここヨーロッパではバルセロナでテロがありました。(※このインタビューは2017年9月上旬に行われた。)テロの知らせを受けてまず僕がとった行動と言えば、友人に電話をして安否を確認することでした。つまり、僕はテレビの向こうで起こっている出来事に関与していったわけです。この瞬間、僕は”第四の壁”を超えたわけですね。
これがこの映画の核となるものです。もしかしたら僕たちは、テレビを通じて災害などで人が命を落とす様をただ観ることに慣れてしまっているのかもしれない。でも、こうした光景が自分に関係するという実感はあっただろうか?もしもそれが”自分ごと”になったら、人はどう反応するだろう?この映画に重要なのは、そういった疑念でした。『シンクロナイズドモンスター』では、基本的に主人公グロリアは怪獣の様子をテレビを通じてしか知ることができません。そこでグロリアが取った行動に大きな意味があるわけです。」
アン・ハサウェイが主演を熱望
そのグロリアを演じるのは、若い女性の憧れの的でもある女優アン・ハサウェイ。『プラダを着た悪魔』(2006)『レ・ミゼラブル』(2012)『ダークナイト ライジング』(2012)といった大作映画でクールな魅力を放ち続ける彼女が、『シンクロナイズドモンスター』の規模の作品で「ダメウーマン」と形容されるアルコール依存症の女性役で主演するというのは意外かもしれない。