『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』監督、キューブリック未完の『ナポレオン』伝記映画を進行中「4〜5年以上取り組んできた」

20世紀の巨匠スタンリー・キューブリック監督が長年に渡って企画していた幻の伝記映画『Napoleon(原題)』の製作を、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』監督のキャリー・ジョージ・フクナガが進めていることがわかった。「吾輩の辞書に不可能の文字はない」の名言でおなじみのフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの活躍を描いた1作だ。
『Napoleon』は、キューブリックが『2001年宇宙の旅』の次回作として準備していた未完の映画。『2001年宇宙の旅』のポスト・プロダクション(撮影後作業)の時点ですでに構想は存在しており、ナポレオンの栄枯盛衰を綴る伝記映画として進めていた。主演をジャック・ニコルソンに据え、撮影も目前に控えていたが、製作スタジオの米MGMが打ち切りを発表し、未完に終わっていたのだ。
この企画について、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で世界の注目を集めているキャリー・フクナガが「4〜5年以上は取り組んできました」と米Colliderにて発言。この言葉通り、フクナガ監督の企画への関与は、遡ること2016年5月に伝えられていた。またこの時、企画は米HBO製作の下、「6時間のミニシリーズ」として作られるとも報じられていたが、以降の進捗は定かでなかった。
フクナガは水面下で企画を進めていたようだが、現在の進捗についても言及している。「間違いなく関わっています」と改めて企画への関与を認めたフクナガは、「全エピソード分の脚本を受け取り、次の段階に進む準備をしている」とのこと。キューブリックでも叶えられなかった夢の企画だけに、頓挫の可能性も懸念されるが、フクナガは「今も動いています」と強調した。
度重なる公開延期の末に待望の封切りを迎えた『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、世界各地で好調な滑り出しを記録している。確かな手腕を発揮したフクナガの次回作は、スティーブン・スピルバーグ&トム・ハンクスが製作を務める第2次世界大戦題材の戦争ドラマ「Masters of the Air(原題)」。ドラマシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」(2001)「ザ・パシフィック」(2010)に続く第3弾だ。2021年4月より開始された撮影は、現在も行われているという。
ところで2013年には、スティーブン・スピルバーグ自らが仏メディアに『Napoleon』の脚本を開発していることを明かしていた。現在の関与は定かでないが、先述の通りフクナガとスピルバーグは「Masters of the Air」でタッグを組んでいる。『Napoleon』での2人の連続タッグもあるか……?
Source: Collider,Tumblr Filippo Ulivieri,Cinema Teaser