Netflix、NYの老舗劇場を蘇生 ─ 閉館されたパリスシアターと契約締結

2019年8月に閉館した米ニューヨーク最後の1スクリーン映画館パリスシアター(Paris Theatre)を、Netflixが再オープンさせた。米Deadlineが報じた。Netflix側のねらいとは。
1948年にオープンした老舗のパリスシアターは、ブロックバスター(大作)映画に左右されず、数々の名作・良作にこだわった上映で映画通に愛された。『ロミオとジュリエット』(1968)などの名作は当時、ほぼ1年にわたってロングラン上映を続けることもあった。2019年8月、ロン・ハワード監督のドキュメンタリー作品『Pavarotti(原題)』を最後に閉館していた。
この度伝えられたところによると、Netflixは本劇場とのリース契約を締結。契約期間は正式に開示されていない一方で、Deadlineは劇場の不動産オーナーとの間に10年間の契約が結ばれたとの情報を掴んでいる。
Netflixは、この伝説的な劇場を使って特別イベントや上映を行う予定。アカデミー賞ノミネートの条件である「一定期間以上の劇場上映」を満たすため……のよう思われるかもしれないが、この条件は厳密には「ロサンゼルスの商業劇場で連続7日以上」となるため、本契約のねらいはそこではない。
パリスシアターのような伝統的な劇場を有することは、様々な映画監督や役者のオリジナル作品への誘致交渉に有利に働くだろう。Netflixは現在、マーティン・スコセッシ監督作の『アイリッシュマン』に代表されるオリジナル作品を続々と製作。パリスシアターでは、『マリッジ・ストーリー』をストリーミング配信に先駆けて上映していた。順次、『アイリッシュマン』も上映予定だという。
Netflixがリアル劇場を手中に収める動きは、これが初めてではない。2019年4月には、米ロサンゼルス・ハリウッドの老舗劇場エジプシャン・シアターの買収交渉に乗り出しており、現時点でなお交渉中。この動きが進めば、Netflixはニューヨークとロサンゼルスの東西両拠点に劇場を有することになる。
「劇場の生態系を破壊する」と叫ばれることも多いストリーミング事業者の権化Netflixが、劇場そのものを蘇生させたという事実も、まさに劇的だ。Netflixがパリスシアターを再生させなければ、同地は診療所に改築される予定だったという。
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Source:Deadline