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Netflix、リアルの劇場買収に向け交渉へ ─ ストリーミングの巨人が映画館を獲得する真の狙いとは

Photo by Wayne Hsieh https://www.flickr.com/photos/whsieh78/4571775965

米Netflixが、ハリウッドの老舗劇場エジプシャン・シアターの買収に向けて交渉に入ったとの報道が飛び出した。ストリーミングの巨人が、ついにリアル劇場の獲得に動いた。

Netflixのねらいは何か。米Deadlineは、「(Netflixが)劇場運営ビジネスに乗り出したと見るのは誤り」と伝える。どういうことか。

Netflixも劇場側もWin-Winの関係に

具体的な交渉内容はこうだ。Netflixは、エジプシャン・シアターで平日夜間の上映を行う。一方、同劇場運営のアメリカン・シネマテークは、週末に作品上映や講演会、催し物を自律的に行う。近年は財政難にあった非営利団体のシネマテークは、国内外の歴史的な、または貴重な作品の上映を続けており、この契約で得られる資金によってより活発な活動が可能になる。

一方でNetflixは、この劇場を利用してオリジナル作品の上映やイベントを堂々と開催できるというわけだ。加えて、数千ドルにも及ぶという取引額をシネマテークに支払うことで、1920年代より続くこの伝統的な劇場をファイナンス的に守ってみせることもできる。破壊型ビジネスとして「劇場を侵食している」と批判的だった声もある程度封じられるだろう。完全なるWin-Winの取引だ。

この動きには唸らされる。オリジナル作品の量および質に注力するNetflixは、第91回アカデミー賞でアルフォンソ・キュアロン監督『ROMA/ローマ』が作品賞候補となったことで、劇場至上主義者からの注目を集めた。この中には巨匠スティーブン・スピルバーグ監督の存在もあり、スピルバーグはストリーミング配信と劇場公開は全く異なるもので、劇場で映画を観るという「体験が自分たちに迫ってくることに勝るものはない」との考えを示していたのだ。

Netflixがハリウッド老舗の名物劇場を獲得し、そこでオリジナル作品を自由に上映できるようになれば、こうした劇場至上主義者に対して身をもって反論できることになる。例によってビジネスとアートが分離した映画業界において、Netflixは非営利のシネマテークを救う形で、自らの立場をも同時に救おうとしているのだ。これを賢明と言わず何と呼ぶか。

なお本取引で、Netflixが既に上映権の提携を結んでいるLandmark TheatresやIpic Theatersとの関係に影響はないという。

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Source:Deadline

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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