X-MEN『ニュー・ミュータンツ』ディズニーと20世紀フォックスの事業統合、どう影響したか ─ 再撮影なし、「空白の1年間」とは

20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)が手がけた最後の『X-MEN』映画『ニュー・ミュータンツ(原題:The New Mutants)』に、ウォルト・ディズニー・カンパニーとフォックスの事業統合が与えた影響が明らかになった。監督を務めたジョシュ・ブーンが、米Entertainment Weeklyのインタビューにて語っている。
そもそも本作については、2017年9月に本撮影が終了して以降、再撮影に関する噂が浮上していた。「ホラー映画として十分に怖くなかった」との理由から、登場人物を追加し、全編の半分以上を撮り直すと言われていたのである。その影響により、当初2018年春に予定されていた劇場公開は延期となった。さらに、2017年12月にディズニーがフォックスとの事業統合を発表し、「X-MEN」の映像化権はディズニー傘下のマーベル・スタジオの管轄に。実に3度目となる延期が決定し、米国公開日は2020年4月へ変更されている。この時、噂されていた再撮影についての真相は不明であった。
このたび、2020年2月下旬のインタビューにて、ブーン監督は“再撮影は一度もなかった”ときっぱり否定。ただし、もしも統合の話が無ければ、追加撮影に対する意欲はあったという。「統合が済んだ頃には、全てが落ち着いて、(キャストの)みんなが成長してしまっていたんです」と監督。本撮影から2年半経てば、当時20~23歳だったメインキャストの外見も変わって、再撮影に影響が出るのも納得だ。
またブーン監督は、事業統合以降、ディズニー側から一切の連絡がない「空白の1年」があったことも明かしている。いわく「スタジオ側から新情報がまったくない」状況だったとのこと。ところが、2019年1月に状況が一変。ついに、ディズニー側から連絡を受け取ったという。「“編集を終わらせませんか”って電話が来たんです。」それからブーンは、約1年間のブランクを経て、75%しか到達していなかった編集作業を数ヶ月かけて完了したという。「1年前だったら考えられなかったアイディアを盛り込むことができた」と監督。空白の期間が、むしろ創作へプラスに作用したところもあったようだ。
2020年3月6日には、サウンドミックスを含めた全ての編集が完了。ブーン監督が自身のInstagramにて報告している。「ニュー・ミュータンツ、正式に完成しました!」
なお出演者の1人、ラーネ・シンクレア/ウルフスベーン役のメイジー・ウィリアムズは「再撮影・再編集の話を聞いたときは、完成版が想像と違ったものにならないか不安でした。でも完成版を観たら、ちゃんと想像通りに仕上がっていました」と完成度に満足している。
『X-MEN』シリーズ初の“青春ホラー”と言われる本作の出演者には、『スプリット』(2016)『ミスター・ガラス』(2019)のアニャ・テイラー=ジョイ、「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)のメイジー・ウィリアムズ、「ストレンジャー・シングス」(2016-)のチャーリー・ヒートン、「13の理由」(2017)のヘンリー・ザーガ、本作が初の長編映画となるブルー・ハントらが名を連ねている。
映画『ニュー・ミュータンツ(原題:The New Mutants)』の米国公開は、新型コロナウイルスの影響を受けて無期延期となっている。
Source: Entertainment Weekly