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クリストファー・ノーラン生誕50周年、『メメント』から『ダンケルク』まで代表作を振り返る ─ 最新作『TENET テネット』への系譜

インセプション
© 2010 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary Pictures. All rights reserved.

本日2020年7月30日、“現代の巨匠”クリストファー・ノーラン監督が生誕50周年を迎える。最新作TENET テネットの日本公開を2020年9月18日(金)に控えた今、そのフィルモグラフィーを改めて振り返ってみることにしよう。

常に斬新なアイデアと驚くべきビジュアル、圧倒的なリアリティをもって観客の予想を裏切り、期待を超え続けてきたノーラン。『TENET テネット』は、デビュー作『フォロウィング』(1998)以降、つねに取り組みつづけてきた“時間”というテーマに真正面から挑むタイムサスペンス超大作だ。デビューから20年以上を経て挑む最新作はいかにして生まれるのか、代表作と逸話から迫っていきたい。

クリストファー・ノーランの代表作を振り返る

『メメント』(2000)

ノーランの出世作『メメント』は、10分しか記憶が保持できない男が、妻を殺した犯人を突き止めるべく奔走する物語を描いたスリラー。特徴は、劇中で起こった出来事の時系列をすべて逆行させるという特異な手法を取り入れたこと。デビュー作『フォロウィング』では、作家志望の男がアイデアを求めて他人を尾行し、やがて“事件”に巻き込まれていくさまを、同じく時系列を操作しながらスリリングに見せたが、その方法論をさらに洗練。モノクロの映像美も継承された。

本作でノーランは監督・脚本・製作・撮影・編集という一人五役を兼任。いまだ名もなきフィルムメーカーだったが、第74回アカデミー賞の脚本賞・編集賞、第59回ゴールデングローブ賞の最優秀脚本賞にノミネートされ、早くも世界中にその才能を知らしめた。今もなお愛されるノーランの原点にして、映画界を一躍駆け上がるに至らしめた重要作だ。

ダークナイト』(2008)

ダークナイト
© 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『メメント』を成功させたノーランは、アル・パチーノ&ロビン・ウィリアムズ&ヒラリー・スワンクという名優を得て、同名スリラー映画のリメイク版にあたる『インソムニア』(2002)に挑戦。大幅なキャリアアップを果たしつつ、すでに熟練の演出技巧を発揮して高い評価を得た。これに続いたのが、クリスチャン・ベールを主演に迎え、DCコミックスの人気ヒーローを現代に甦らせた『バットマン ビギンズ』(2004)。その続編として製作された『ダークナイト』は、ノーランのキャリアをさらなる高みに押し上げることとなる。

“狂気の犯罪王子”として知られるバットマンの宿敵、ジョーカー役を演じたヒース・レジャーの映画史に残る名演。バットマンやトゥーフェイスら、さまざまな登場人物の心理面を緻密に描き込んだプロット。そして観る者の倫理観を問うテーマ性。本作は、いわゆる「アメコミ映画」「ヒーロー映画」の枠組みを超えた一本であり、ゼロ年代映画の金字塔だ。この作品をきっかけにアカデミー賞の作品賞候補本数が増えたとの逸話もある、まさに“映画史を変えた映画”なのである。

ダークナイト
© 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

いまやおなじみのIMAX®カメラを長編大作映画で使用したのも『ダークナイト』が初めて。当時世界で4台しかなかったカメラのうち、貴重な1台で撮影されたジョーカーとSWATの追跡シーンでは、リアリティを追求するあまり、カメラを破壊してしまったというエピソードもファンの間では有名だ。

クリスチャン・ベール演じる主人公、ブルース・ウェイン/バットマンのスーツはジョルジオ・アルマーニによって特別に仕立てられ、ヒース演じるジョーカーの衣装はセックス・ピストルズのジョニー・ロットンを意識して作られたもの。衣装の細部までこだわり抜かれた、映像のデザイン性にも着目されたい。2020年7月30日現在、「ノーラン祭り」第一弾として、IMAX®デジタル上映と日本初の4D上映を実施中。ぜひこの機会をお見逃しなきように。

ダークナイト 『ダークナイト』デジタル配信中

Writer

THE RIVER編集部
THE RIVER編集部THE RIVER

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