クリストファー・ノーランとスタンリー・キューブリック、共通点とは? 『フルメタル・ジャケット』『ダークナイト ライジング』出演者が語る

最新作『TENET テネット』も話題の映画監督クリストファー・ノーランは、映画製作への飽くなきこだわりにおいて、そして他の追随を許さない“大作路線”と“パーソナルな映画”の両立において、映画史に名を刻む巨匠スタンリー・キューブリックとしばしば名前を並べられるフィルムメーカーだ。ノーランは『インターステラー』(2014)で『2001年宇宙の旅』(1968)に直接的な敬意を捧げるなど、キューブリックの存在をフィルモグラフィにおいても意識している。
キューブリックとノーラン、二人の作品に出演した経験を持つのが、俳優マシュー・モディーンだ。キューブリックの代表作『フルメタル・ジャケット』(1987)では新兵のジョーカー役を、ノーラン監督作『ダークナイト ライジング』(2012)ではピーター・フォーリー副本部長役を演じた。

米Cinema Blendでは、マシューがよく「ノーランは新たなキューブリックなのでしょうか?」との質問を受けることを明かしている。もっとも、マシューはそのつど「ノーランが次のキューブリックになろうとしているとは思わない。ノーランは次の自分自身を目指しているのだと思います」と応じているのだそうだ。続けて、キューブリックという映画作家の思い出をマシューはこう振り返っている。
「スタンリーは別の誰かになろうとなんてしていなかった。素晴らしかったのは、ニューヨークからロサンゼルスに引っ越して、最後にはイングランドに移り、外的な影響から距離を取っていたこと。これは僕が日記に書いていることなんだけど、アーティストにとって一番大切なことは、自分の声を、自分の道を見つけること。[中略]ほかの監督の仕事や、別の撮影監督、美術、音楽、それからチームの顔ぶれに影響を受けることはあっても自分の道を見つけなければいけません。彼らに共通点があるとしたら、クリストファー・ノーランが自分自身の道を行こうとしていることでしょう。」
ちなみにマシューは、ノーランについて「今まで仕事をした中で最もジャズ・ミュージシャン的な監督だった」とコメント。「俳優のキャスティングのしかた、演出のしかたに即興的なところがある」のだとか。一方、キューブリックについては「最も効率的なプロデューサーで、仕事をしていて楽しかった」と振り返っている。「自由を実現できる環境をキューブリックは作っている。自分の声を見つけ、自分の物語を語るために、自分なりのスタジオ・システムを作っていたんです」。
Source: Cinema Blend