クリストファー・ノーラン、Netflixで映画を作る条件とは ─ Netflix幹部、アカデミー賞選出の意義を語る

『ダークナイト』3部作や『インターステラー』(2014)などで知られるクリストファー・ノーランが、Netflixで映画を作ることはあるか? Netflixオリジナル映画を統括するスコット・ステューバー氏が、米The Wall Street Journalにてノーランの見解を明かしている。
そもそもノーランといえば、あくまでも劇場体験にこだわってきた人物だ。最新作『TENET テネット』では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて映画業界が一時停止を余儀なくされる中、それでも世界規模の劇場公開に踏み切ったほどである。やはりノーランの懸念は、Netflix作品の劇場公開をめぐる現状にあるようだ。ステューバー氏はこう語る。
「(映画には)世界での劇場公開という側面があって、そこにはまだ魅力があります。クリストファー・ノーランと少しだけ話をしましたが、彼は世界での劇場公開を強く求めていますね。我々がそれを提供できないかぎり、彼にとってはそこが問題になるのでしょう。」
米国において、Netflixオリジナル映画は一部が劇場公開されており、日本でも一部の作品が上映されているが、これは全世界共通のものではない。たとえばフランスの場合、劇場公開から配信までは3年を要することになっており、これはNetflixが求めるリリース形態とは異なるものである。しかし、世界規模での公開が叶わなければ、ノーランがNetflixで映画を作ることはないだろう。大手映画館がNetflix作品の上映に消極的なことも同じく懸念となりそうである。
もっとも、Netflixの勢いは質量ともにすさまじい。年間60本の新作映画を配信する怒涛のラインナップに目を見張るが、2021年のアカデミー賞では『Mank/マンク』『シカゴ7裁判』『マ・レイニーのブラックボトム』など17作品が計36部門の候補に選出された。いまや最もオスカーにノミネートされるスタジオとなったが、ステューバー氏は「(フィルムメーカーに)我々なら皆さんの夢を叶えられる、と語りかけること、これが重要です」と話した。「最高の存在として認識してもらいたいと思います。最初はまったくノミネートされなかったのだから、これは素晴らしい達成。アーティストを募る時だけでなく、我々がベストを尽くしていることを利用者のみなさんにも知っていただけますから」。
ノーランが求める劇場での世界公開こそ難しいが、Netflixの強みは世界同時配信にある。したがって、オリジナル作品は「世界中のさまざまな人々と繋がれる、彼らが楽しめる、素晴らしいと思える」企画を重視し、幅広い作品を手がけることを重視しているそう。視聴者数や視聴傾向のデータもあるが、ステューバー氏は企画の選定について「結局は人間の仕事です。素晴らしいと思える題材か、最高の映画になると信じられるか、それを実現してくれる人たちかどうかを見極めなければいけません」と語った。
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Source: The Wall Street Journal