【ネタバレ】『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』撮影地の1つ、ヴェスパーとの決別にふさわしかった理由

この記事には、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のネタバレが含まれています。必ず本編を鑑賞後にお楽しみください。

『ワンダーウーマン』で登場したセミッシラは、ギリシャ神話の神ゼウスによって創造された女戦士の一族、アマゾネスの故郷という設定。この自然豊かなセミッシラを再現するために選ばれたのが、地中海の景色が見渡せる洞窟都市マテーラだった。
このマテーラは、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で鍵となるシークエンスでも登場している。序盤、ジェームズ・ボンドとマドレーヌがバケーションで訪れた街だ。この地では、『カジノ・ロワイヤル』で登場したボンドの元恋人ヴェスパー・リンドの墓地があったり、悪の組織スペクターの刺客との激しい追跡劇が繰り広げられたりと、物語のきっかけを作る重要な場面が登場した。
同じ場所でも、『ワンダーウーマン』と『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では見え方が違うマテーラ。この場所が『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも選ばれたのには、キャリー・フクナガ監督の明確な意図があった。米Entertainment Weeklyの取材では、冒頭シーンの物語にマテーラがふさわしかった理由をフクナガ監督が明かしている。
「プロダクション・デザイナーを担当しているマーク・ティルデスリーが、映画をスタートさせるのに最高なロケーションだと言って提案してきたんです。マテーラの単色の風景は、まるで大きな1つの墓地のように感じられました。あの地には、ボンドが遺してきたものについてのメタファーがたくさんあるんです。だからこそ、ぴったりだと思ったんです。」
マテーラでの一連のシークエンスでは、主にボンドとマドレーヌのロマンスが描かれた。一方で、胸のつかえとなっていたであろう亡きヴェスパーにボンドが本心を伝え、別れを告げる『カジノ・ロワイヤル』に始まったストーリーの決着でもあったのだ。
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思えば、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』公開前の2021年7月、主演のダニエルは『007 スペクター』(2015)で決意していた引退を取りやめて、続投を決めた理由を「『カジノ・ロワイヤル』に始まった何かを終わらせるため」と話していた。その意味でも、マテーラは物語に欠かせない重要な撮影地だったはずだ。
ちなみに、マテーラは1993年に世界遺産として登録されており、観光地としても人気のスポットだ。『ノー・タイム・トゥ・ダイ』で重要な役割を果たしたこともあり、これからは『007』シリーズファンにとっての聖地としても親しまれることになるだろう。
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Source: Entertainment Weekly