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【ネタバレ】実写「ONE PIECE」第7話解説 ─ アーロンパーク突入とナミの感動エピソード、原作と照らし合わせて

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One Piece. (L to R) Mackenyu Arata as Roronoa Zoro, Jacob Romero Gibson as Usopp, Iñaki Godoy as Monkey D. Luffy, Taz Skylar as Sanji in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

この記事には、Netflix「ONE PIECE」第7話『THE GIRL WITH THE SAWFISH TATTOO』のネタバレが含まれています。

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Netflixシリーズ「ONE PIECE」8月31日(木)世界独占配信 / (C)尾田栄一郎/集英社

「ONE PIECE」第7話『THE GIRL WITH THE SAWFISH TATTOO』解説

Netflix実写ドラマシリーズ「ONE PIECE」第7話『THE GIRL WITH THE SAWFISH TATTOO』で、アーロンとともに去ったナミを探すため、麦わらの一味はコノミ諸島へ向かう。原作で進路を案内するのは賞金稼ぎのヨサクだが、ドラマ版では頭部だけになった“道化のバギー”だ。ゆえにウソップは船を進めながらバギーにいら立ち、ゾロは裏があるのでは?と疑っている。もっとも、バギーは首から下のパーツをアーロンに捕獲されているため、少なくともアーロンパーク到着までは協力関係を保てるだろう。

ナミのような賢い女性が自らアーロンと手を組むはずがない、と予想するサンジ。一方ゾロはナミを信用できず、サンジと意見を対立させる。ここでついにゾロ&サンジの“犬猿の仲”の誕生だ。原作でもナミをめぐる会話が、ふたりが対立するきっかけであった。

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One Piece. (L to R) Len-Barry Simons as Chu, Emily Rudd as Nami in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

そのころナミはアーロンパークにて、賭けポーカーで魚人たちを負かしていた。イカサマだとイチャモンをつけられ、「ここじゃお金のことでウソはご法度」と強く言い返すナミ。金を持ってその場を去っていく。ちなみに、このシーンでは作中通貨「ベリー」の硬貨&紙幣がちらりと映る。よく見ると、単行本53巻のSBSコーナーで紹介されていた6種類の硬貨(1ベリー~500ベリー)と3種類の紙幣(1,000ベリー~10,000ベリー)のデザインに忠実に作られていることがわかるだろう。

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One Piece. Emily Rudd as Nami in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

さて、ナミが測量室に入ると、8年前のココヤシ村にフラッシュバック。その中でナミの生い立ちが明らかになる。故郷ココヤシ村は、以前ナミがゾロに話した通り「みかん畑」の広がる村だ。子ども時代のナミは、義姉ノジコ&義母ベルメールと3人で暮らしていた。

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One Piece. Lily Fisher as Young Nami in season 1 of One Piece. Cr. Casey Crafford/Netflix © 2023

ある日、本屋から歴史地図帳を盗んだことがバレて、ベルメールに叱られるナミ。家が貧乏なことに不満をたれ、ベルメールもノジコも「本当の家族じゃない」と思わず発言。ベルメールから頬を叩かれて、家を飛び出してしまう。

その後ベルメールはナミを見つけ、彼女と出会った時を回顧する。元海兵のベルメールは戦場で死にそうな時にナミ&ノジコを発見。ふたりを守るために「生きなきゃ」と思ったと語る。そしてナミにもいずれこの気持ちが分かる、と言ってみかんの皮で作った風車を渡す。

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COURTESY OF NETFLIX

再び現在に戻ると、測量室にアーロンが登場。ナミとの会話から、ふたりの間に何らかの「取引」があることがわかる。アーロンはナミから偉大なる航路(グランドライン)への海図を受け取ると、魚人が世界を支配するという野望を熱弁。そしてココヤシ村の奉具の支払いが遅れていると言い、ナミに村へ行くよう指示。ナミは「歓迎されていない」と言い返すも、しぶしぶ村へ向かう。

一方、ガープ&コビー&ヘルメッポは、麦わらの一味の情報を聞き出すため「バラティエ」を訪れていた。ドラマ版オリジナルで展開するこのシーンでは、ガープがルフィに執着する理由が明らかに。ゴールド・ロジャーの処刑を命じた張本人として、ロジャーを彷彿とさせるルフィが同じ運命をたどるのを見たくないというのだ。

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One Piece. (L to R) Vincent Regan as Vice-Admiral Garp, Craig Fairbass as Zeff in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

そのころルフィは、仲間とともにココヤシ村に到着。アーロン一味に破壊された村の惨状を目の当たりにする。村の駐在・ゲンさんが「今月も足りない」と村人たちに話していると、ナミが登場する。ノジコはナミに「よくここに顔を出せたね」と言い、地面に唾を吐いて立ち去って行く。ナミが「渡す物は?」とゲンさんに聞くと、再び過去に遡る。

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One Piece. (L to R) Mackenyu Arata as Roronoa Zoro, Iñaki Godoy as Monkey D. Luffy, Jacob Romero Gibson as Usopp, Taz Skylar as Sanji in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

盗んだ地図帳を返して謝罪するナミ。彼女の気持ちを理解するゲンさんは、次から「お手伝いすれば小遣いをやる」と優しく話す。しかし和やかな空気もつかの間、アーロン一味が村に攻め込み、人々はパニック状態に。ゲンさんは果敢に戦おうとするが、攻撃を受けて顔にひどい傷を負ってしまう。

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One Piece. (L to R) Mackenyu Arata as Roronoa Zoro, Jacob Romero Gibson as Usopp, Iñaki Godoy as Monkey D. Luffy, Taz Skylar as Sanji in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

ちなみにゲンさんといえば、帽子につけた「風車」がトレードマーク。原作ではルフィが彼を「風車のおっさん」と呼び、“赤ん坊のナミをあやすため風車をつけるようになった”という経緯も描かれていた。しかしドラマ版では、過去シーンでのみ風車をさしている。

ゲンさんに奉具が少ないと指摘した後、ルフィたちを発見したナミ。自分に手を差し伸べようとするルフィを、「アーロンのために利用させてもらった」と言って突き放す。そこでルフィはゲンさんにノジコの居場所を聞き、彼女から事情を聞くことに。そしてノジコの口から、ナミ&ノジコ&ベルメールに降りかかった悲劇が明かされる。

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One Piece. (L to R) Emily Rudd as Nami, Iñaki Godoy as Monkey D. Luffy, Mackenyu Arata as Roronoa Zoro, Jacob Romero Gibson as Usopp, Taz Skylar as Sanji in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

ココヤシ村を襲ったアーロン一味は、奉具を取り立てるため家々をまわっていた。ベルメールはナミ&ノジコを床板の下に隠し、大人1人分の10万ベリーをアーロンに渡す。しかし3人分の食事を用意していたことに気づかれ、正直に「娘が2人いる」と告白。子ども1人5万ずつ要求されるも支払うことができず、ふたりに「大好き」と言い残して撃ち殺されてしまう。ちなみに原作ではゲンさんが「夕食に招待されていたんだったな」と機転をきかせるが、どのみち逃げ場がなくなることは目に見えていたため、ベルメールは娘たちの存在を明かす……という流れだ。

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One Piece. Genna Galloway as Belle-Mere in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

ナミはアーロンパークに戻り、例の「契約」についてアーロンに切り出していた。そんななか、海軍のネズミ大佐が登場。 アーロンから賄賂を受け取り、便宜を図っている人物だ。ネズミが賄賂の増額を要求すると、アーロンは仕方なく承諾。しかし「意外に賢いようだな」と言われると、すかさず「“魚人のわりに?”」と反応する。前回もアーロンは“魚人差別”の存在を示唆していたが、ここで改めて魚人が奴隷だった歴史が語られる。原作読者の中には、この展開に驚いた人も多いのではないだろうか。

というのも、原作ではシャボンディ諸島編で初めて奴隷制に言及され、のちの魚人島編でその全貌が明らかとなるからだ。よってアーロンパーク編で、魚人&人間の確執の背景が語られることはなかった。ドラマ版ではアーロンが繰り返し奴隷制に言及することで、彼が執拗なまでに人間を嫌う理由が鮮明になっている。

ネズミがアーロンの気迫に負けて去った後、ナミは契約の条件である「1億ベリー」を集めたことを報告。これで取引成立になるかと思いきや、アーロンは何かを企み、ネズミを呼び戻そうとする。

何も知らないナミは、ベルメールの墓の付近で1億ベリーの入った樽を掘り起こしていた。その姿を見たノジコが怒り出したため、ナミはついに真相を明かす。ベルメールの死後、自らアーロンを探し出し、ある契約を交わしたナミ。その内容は、アーロン一味で測量士として海図を描くかわりに、1億ベリーでココヤシ村を買い取るというものだった。自らを犠牲にして、村を救おうとしていたのである。

なお原作では、ナミの海図を見つけたアーロンがその才能を買い、彼女を連れ去ったのが一味に入ったきっかけだ。また、早い段階でノジコはナミから真相を聞かされ、内緒でゲンさんや村人たちにも事情を伝えていた。ドラマ版では村にそのことを知る者はいなかったため、ナミは真に孤軍奮闘していたことになる。

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One Piece. Chioma Umeala as Nojiko in season 1 of One Piece. Cr. Courtesy of Netflix © 2023

ここで再び海軍のネズミが登場し、ナミが隠していた金を押収しようとする。「1億ベリー」という正確な金額を口にしたため、アーロンの仕業だと判明。アーロンはナミとの約束を守る気などなかったのだ。

危機に陥ったナミは、アーロンパークに向かって走り出す。しかし途中で跪き、「アーロン!」と叫びながら、腕に刻まれたアーロン一味の入れ墨を何度もナイフで刺す。その手を止めたのは、ルフィだった。これまで弱みを見せなかったナミだが、涙を堪えきれず、ついに「助けて」と漏らす。するとルフィは何より大切な麦わら帽子をナミにかぶせ、こう叫ぶ。「当たり前だ!」

原作ファンの多くが涙した名シーンなだけに、制作陣も完璧な再現を目指したに違いない。ルフィ&ナミのやりとりはもちろん、この後に登場する、タバコを吸うサンジ、あぐらをかくウソップ、刀を立てて座るゾロ、その奥で歩くルフィ、ナミの構図は原作と全く同じ。また、「行くぞ」と声をかけるルフィのアップショット、「おお!」と返す3人が並んだコマ割りも忠実に再現。この徹底ぶりには、原作ファンも満足したのではないだろうか。

Netflix シリーズ「ONE PIECE」は独占配信中。

Writer

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KyokoKyoko Okajima

アメリカ留学、大手動画配信サービスの社員を経て、ライターに転身。海外ドラマが大好きで、永遠のNo.1は『ブレイキング・バッド』と『ベター・コール・ソウル』。

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