『ONE PIECE』の実写化、『少林サッカー』がキッカケだった? ─ 尾田栄一郎「漫画的世界が現実になったような気がした」

Netflixで実写ドラマ化された「ONE PIECE」は、“悪魔の実”の能力者や多種多様な生物がひしめくファンタジーな世界が舞台だ。“ゴムゴムの実”の能力を活かしたルフィのバトルなど漫画的な表現が楽しめる作品であり、原作者の尾田栄一郎も連載当初は実写化できるとは考えていなかったという。しかしある映画を観たことで、尾田の心は変わったようだ。米New York Timesのインタビューで語っている。
「連載を始めた当初は、実写で再現できるような漫画を描く意味はないと思っていました。でも『少林サッカー』を観たら、漫画的な世界が現実になったような気がしたんです。時代が変わり、実写版『ワンピース』を実現できる技術があることに気づきました。なので、この漫画に命を吹き込むのにふさわしいパートナーを探す方向へとシフトしたのです。」
『少林サッカー』は2002年に公開され大ヒットした、チャウ・シンチー監督のアクションコメディ映画。少林寺拳法の達人たちが“究極のサッカー”を繰り広げる物語で、CGを駆使することで、サッカーとカンフーを融合させた漫画的な表現を見事に映像化した。尾田にとって本作の成功が、『ONE PIECE』実写化の可能性に説得力を持たせたようだ。
また「『ONE PIECE』のように絶大な人気を誇る漫画・アニメを実写化する際、何を念頭に置くべきか?」という質問に対し、尾田は「漫画の実写化は、単に原作を一対一で再現するだけではない」とした上で、次のように回答している。
「登場人物のどこがファンから愛されているのか、キャラクター間の力関係はどうなっているのか、そうした要素を忠実に再現することです。優れた実写作品は、ストーリーを大きく変える必要はありません。1番大事なのは漫画の読者を満足させるような形で、役者たちがキャラクターを表現できるかどうかです。僕たちは(『ONE PIECE』で)上手くできたと思うので、視聴者に受け入れてもらえることを願っています。」
『ONE PIECE』は、ゴール・D・ロジャーという伝説の海賊王が残した“ひとつなぎの大秘宝”を巡り、モンキー・D・ルフィ率いる麦わらの一味が冒険へと繰り出す壮大な物語。
実写版のキャストは、ルフィ役のイニャキ・ゴドイ、ロロノア・ゾロ役の新田真剣佑、ナミ役のエミリー・ラッド、サンジ役のタズ・スカイラー、ウソップ役のジェイコブ・ロメロ・ギブソンらが名を連ねる。クリエイターは、「HELIX -黒い遺伝子-」(2014‐2015)のスティーヴン・マエダ、「ルーク・ケイジ」(2016)のマット・オーウェンズ。
Netflixシリーズ「ONE PIECE」 は2023年8月31日(木)世界独占配信。
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Source:New York Times