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『オッペンハイマー』原案の傑作評伝本、待望の文庫化 ─ ノーランも「名著」と絶賛、1月20日発売

2024年、クリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』がいよいよ日本公開を迎える。これに先駆けて、映画の原案となった傑作ノンフィクション『オッペンハイマー』が早川書房より文庫化され、2024年1月20日に発売予定だ(電子書籍版も同時発売)。

「原爆の父」と呼ばれた物理学者J・ロバート・オッペンハイマーに迫った、カイ・バード&マーティン・J・シャーウィン著『オッペンハイマー』は、2007年8月にPHP研究所より単行本として発売。しかしながら長らく絶版となっており、映画化の発表後は中古価格も高騰する状態となっていた。

オッペンハイマーの生涯を丹念に描き、“人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何か”を問うた本書は、ピュリッツァー賞を受賞し、全米で絶賛された傑作評伝。25年にわたって関係者や家族の証言や史料を丹念に取材し、人類に「原子力」という新しい火をもたらした天才科学者の実像をあぶり出した。

「マンダロリアン シーズン3」「アソーカ」解説

今回の文庫版は、詩や哲学にも造詣が深く、繊細な精神の持ち主だった青年時代(上巻「異才」)、マンハッタン計画を主導して人類初の原子爆弾実験・トリニティに参加し、広島・長崎に投下された二発の原爆を作り出した壮年時代(中巻「原爆」)、そして核兵器の国際管理と水爆反対を掲げた晩年と、マッカーシズム時代の“オッペンハイマー事件”の真相(下巻「贖罪」)の全3巻構成となる。

また、単行本の河邉俊彦氏による訳に加え、新たに監訳として『TENET テネット』(2020)の字幕科学監修を務めた山崎詩郎氏(東京工業大学理学院物理学系助教)が参加。各巻の解説は、上巻を山崎詩郎氏が、中巻を哲学者・論理学者の高橋昌一郎氏が、下巻をアメリカ思想史家・映画批評家の入江哲朗氏が執筆した。

映画『オッペンハイマー』を手がけたノーランは、本書を「歴史上最も重要で、最も矛盾を抱えた一人の男を描いた名著」と絶賛。自ら脚本を執筆した映画版は、時系列を行き来しながらオッペンハイマーの半生を描き出す構成となった。上映時間3時間、恐るべき深みまで到達する大作だが、やむをえず省略されている部分もあるため、この評伝をあらかじめ読んでおけば、さらに映画を奥深く楽しむことができるはずだ。

オッペンハイマー
映画『オッペンハイマー』2024年日本公開 © Universal Pictures. All Rights Reserved.

『オッペンハイマー』

書名 『オッペンハイマー(上・中・下)』
著者 カイ・バード&マーティン・J・シャーウィン
訳者 河邉俊彦
監訳 山崎詩郎
出版社 早川書房(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
発売日 2024年1月20日(電子書籍も発売予定)
本体価格 各巻1,280円(税抜)

※本書は2007年8月にPHP研究所より刊行された単行本『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』に新たな監訳・解説を付して改題・文庫化したものです。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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