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米アカデミー賞、表現と多様性の新基準を発表 ─ 少数者の積極的雇用を求める、2024年から発効

アカデミー賞
Photo by Prayitno https://www.flickr.com/photos/prayitnophotography/6883792695/

アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは、「作品賞」を対象とする表現と多様性の新たな基準を設けることを発表した。アカデミー賞の候補・受賞作品に白人が多いことが以前から問題視されてきたことだけでなく、世界的な人種問題、業界内に根強い不均衡を是正するための取り組みとして期待される。

発表によると、新基準の発効は2024年(第96回)。以下に示す基準A~Dのうち、2つ以上を満たしている映画が作品賞の候補にふさわしいと判断される。なお、作品賞以外の部門については現在の基準が引き継がれる。

基準A:スクリーンの表現・テーマ・物語

以下の条件のうち、1つ以上を満たしていれば「基準A」に適合した作品とみなされる。

A1:主役級の俳優や、主な脇役を演じる俳優に、以下の少数人種・民族から1人以上を起用する。

  • アジア系
  • ヒスパニック/ラテンアメリカ系
  • 黒人/アフリカ系
  • 先住民/ネイティブアメリカン/アラスカ原住民
  • 中東系/北アフリカ系
  • ハワイ先住ポリネシア人、もしくは太平洋諸島の住民
  • そのほか少数の人種や民族

A2:脇役やその他の役柄を演じる全俳優の30%以上が、以下の少数者集団のうち2つ以上で構成されている。

  • 女性
  • 人種・民族集団
  • LGBTQ+
  • 認知障がい者、身体障がい者、聴覚障がい者、難聴者

A3:主なストーリーやテーマ、ナラティブが以下の少数者集団を扱っている。

  • 女性
  • 人種・民族集団
  • LGBTQ+
  • 認知障がい者、身体障がい者、聴覚障がい者、難聴者

基準B:クリエイティブ・リーダーシップと製作チーム

以下の条件のうち、1つ以上を満たしていれば「基準B」に適合した作品とみなされる。

B1:クリエイティブ・リーダーシップを担う者や部門代表者について、以下の少数者集団に属する者が2部門以上で起用されている。また、以下の少数民族・人種に属する者が1部門以上で起用されている。

【対象】キャスティングディレクター、撮影監督、作曲家、衣裳デザイナー、監督、編集者、ヘアスタイリスト、メイクアップアーティスト、プロデューサー、プロダクションデザイナー(美術監督)、セットデコレーター、音響、VFXスーパーバイザー、脚本家

  • 女性
  • 人種・民族集団
  • LGBTQ+
  • 認知障がい者、身体障がい者、聴覚障がい者、難聴者
  • アジア系
  • ヒスパニック/ラテンアメリカ系
  • 黒人/アフリカ系
  • 先住民/ネイティブアメリカン/アラスカ原住民
  • 中東系/北アフリカ系
  • ハワイ先住ポリネシア人、もしくは太平洋諸島の住民
  • そのほか少数の人種や民族

B2:その他のスタッフ/クルーや技術職(プロダクション・アシスタントは除く)に、少数民族・人種に属する者が6人以上雇用されている。役職はファースト・アシスタント・ディレクターや照明担当者、脚本スーパーバイザーを含むが、これらに限られるものではない。

B3:映画クルーの30%以上が、以下の少数者集団から構成されている。

  • 女性
  • 人種・民族集団
  • LGBTQ+
  • 認知障がい者、身体障がい者、聴覚障がい者、難聴者

基準C:産業への参加機会

以下の2条件の両方を満たしていれば「基準C」に適合した作品とみなされる。

C1:配給企業・出資企業が、以下の少数者集団から実習生とインターンシップ生を有償雇用し、さらに以下の条件を満たす。

  • 女性
  • 人種・民族集団
  • LGBTQ+
  • 認知障がい者、身体障がい者、聴覚障がい者、難聴者

・メジャーの製作スタジオと配給企業は、上の少数者集団に属する実習生・インターンシップ生を以下の部門にて有償雇用しなければならない。少数民族・人種に属する者も含まれなければならない。(企画/開発、撮影、ポストプロダクション、音楽、VFX、権利獲得、商務、配給、マーケティング、広報)

・ミニメジャー・インディペンデントの製作スタジオと配給企業は、上の少数者集団から2人以上、少数民族・人種集団から1人以上の実習生・インターンシップ生を、以下のうち1部門以上で起用しなければならない。(企画/開発、撮影、ポストプロダクション、音楽、VFX、権利獲得、商務、配給、マーケティング、広報)

C2:製作会社・配給会社・出資企業が、以下の少数者集団に対して、スタッフ技術向上のための訓練や業務従事の機会を提供する。

  • 女性
  • 人種・民族集団
  • LGBTQ+
  • 認知障がい者、身体障がい者、聴覚障がい者、難聴者

基準D:観客の開拓

以下の条件を満たしていれば「基準D」に適合した作品とみなされる。

・スタジオや映画会社が、マーケティング・広報・配給チームの社内上級幹部に、以下の少数者集団に属する者を起用する。少数民族・人種に属する個人も含まなければならない。

  • 女性
  • 人種・民族集団
  • LGBTQ+
  • 認知障がい者、身体障がい者、聴覚障がい者、難聴者
  • アジア系
  • ヒスパニック/ラテンアメリカ系
  • 黒人/アフリカ系
  • 先住民/ネイティブアメリカン/アラスカ原住民
  • 中東系/北アフリカ系
  • ハワイ先住ポリネシア人、もしくは太平洋諸島の住民
  • そのほか少数の人種や民族

映画芸術科学アカデミーによると、発表された新基準は、観客の多様性をよりよい形で映画のキャスト&スタッフに反映することを促進するためのもの。これらは英国映画協会が出資や英アカデミー賞の選考に用いている基準を参考に、全米製作者組合との協議のうえで決定された。

デヴィッド・ルービン会長とドーン・ハドソンCEOは、「多様な世界人口に広く対応すべき」「アカデミーはこれを現実にするための重要な役割に尽力する」との姿勢を明らかにし、「これらの多様性にまつわる基準が、我々の業界に長続きする、本質的な変化のきっかけになることを信じています」との声明を発表している。

Source: Oscar

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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