米アカデミー賞、「外国語映画賞」名称を「国際長編映画賞」へ変更 ─ 2020年のルール改定、前回は『万引き家族』ノミネート

米映画芸術科学アカデミーは、2020年に開催する第92回アカデミー賞におけるルールの改定を発表した。
最大の変更点は、2019年(第91回)に是枝裕和監督『万引き家族』(2018)がノミネートされたことで日本国内でも話題を呼んだ「外国語映画賞」が、「国際長編映画賞(International Feature Film Award)」へと名称を変更することだ。候補作品数が10作品に増えることも明かされている。
アカデミーの発表によれば、「国際長編映画」とは、米国外で製作され、主に英語以外の言語が使用されている長編映画を指すとのこと。アニメーション映画とドキュメンタリー映画も対象となっており、一国につき一作品が候補として選出される。候補10作品のうち、7作品は国際長編映画委員会によって選ばれ、3作品は国際長編映画賞実行委員会の投票によって決定。部門名と候補作品数を除き、ルールや選考プロセスなどに変更はないという。
国際長編映画委員会の共同会長を務めるラリー・カラゼウスキー氏とダイアン・ワイアーマン氏は、今回の名称変更にあたって「“外国”という表現は、グローバルな映画製作において時代遅れだと考えました」との声明を発表。「“国際長編映画”という優れた名称になることは、映画製作のポジティブかつ包括的な視点や、普遍的体験としての映画芸術を促進するものと信じています」とした。
第91回アカデミー賞では、外国語映画賞をアルフォンソ・キュアロン監督『ROMA/ローマ』(2018)が受賞。同作は作品賞や監督賞など、同年の最多10部門にノミネートされていた。今回の名称変更は、外国語作品を米国作品と区別するのではなく、より広い視野をもち、世界規模で捉えようという動きのひとつとも理解することができそうだ。
そのほか第92回のルール改定で大きな変更点には、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の候補作品数が3本から5本に増えたことなどがある。第91回アカデミー賞は早くからルール改定が話題を呼び、数日後に改定内容や発案が撤回されるなど波乱含みとなったが、今回の名称変更はどのように受け止められるのか。業界の反応も含めて注視したいところだ。
第92回アカデミー賞は2020年2月9日(日曜日、米国時間)に開催予定。
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