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【インタビュー】フェリシティ・ジョーンズ「バランスもたらすには時間がかかる」 ─ 『ビリーブ 未来への大逆転』で「私たちは変わらなくては」

『ビリーブ 未来への大逆転』フェリシティ・ジョーンズ
©THE RIVER

映画『ビリーブ 未来への大逆転』が2019年3月22日より公開となった。史上初の男女平等裁判に挑んだ女性ルース・キンズバーグを描いた本作のため、主演フェリシティ・ジョーンズが来日。THE RIVERのインタビューに応えた。

『ビリーブ 未来への大逆転』フェリシティ・ジョーンズ
©THE RIVER

実在の人物 演じるプレッシャー

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)や『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)など、ポップカルチャー文脈でもおなじみのフェリシティ・ジョーンズは、これまでにも実在の人物を演じている。たとえば、『博士と彼女のセオリー』(2015)のジェーン・ホーキングだ。「それから、亡くなられていますが『エレン・ターナン ~ディケンズに愛された女~』(2013)のエレン・ターナンも演じました。チャールズ・ディケンズ(※)のパートナーとして知られている方です」と紹介する。


※『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』などで知られるイギリスの小説家。

フィクションのキャラクターと違い、実在の人物を演じるにあたっては「たくさんのリサーチが必要になります」とフェリシティ。「事実を正しく伝えなくてはいけませんから。心理学者になった気持ちですよね。なぜこういう行動をしたのか、どういう動機付けがあったかを調べるんです。特に今作では御本人がまだご存命で映画を観られるので、プレッシャーも感じました。」熱弁のあまり、片手に持ったグリーン・ティーがカップから溢れる。フェリシティはお茶目に笑った。

「リサーチでは、御本人が20代から30代後半だった頃の映像が残っていて、とても役立ちました。それから、法廷で録音された彼女の音声もありました。彼女のフィジカルな面と、感情にアクセスする上で活用させて頂きました。」

『ビリーブ 未来への大逆転』フェリシティ・ジョーンズ
©THE RIVER

燃え続ける精神を投影

『ビリーブ』でフェリシティが演じたルース・ベイダー・ギンズバーグは、御年86歳にして今なお米最高判事を務める。過去にガンを患った経験から、今はスポーツジムで身体を鍛えていることががよく知られ、ダンベルを持った筋トレ姿が有名だ。的を得た痛快な発言も人気で、アメリカでは巨漢ラッパーの『ノトーリアス・B.I.G.』になぞらえて『ノトーリアス・R.B.G.』との愛称でグッズが流行するほど。彼女の強さについてフェリシティは、「おそらくお母様から受け継いだもの」と分析する。

「ルースはお母様を若い頃に亡くしていて、その悲しみが彼女を強くしたんだと思います。母の信念、自立心を全うしようと思ったのでしょう。彼女の母は非常に勤勉な方で、読み聞かせをしたりと教育熱心でした。」

ビリーブ 未来への大逆転
© 2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

ルース役を演じるにあたっては、「彼女の中で燃え続ける精神を表現すること」を重視したという。「彼女は何度も諦めそうになります。世の中に合わず、これは自分がやらなくても良いことなんじゃないかと思ってしまう。一日一日が闘いなんですよね。」

本編でも描かれるように、ルースは極めて困難な局面に立たされてなお、周囲に協力を仰ぎながら粘り強く戦う。「すごく古風な世界」、つまり男性優位の社会に飛び込んだ彼女が武器にしたのは「文字の力」だったとフェリシティ。そこに彼女の教養と才能が役立つ。

「彼女の才覚の多くは、交友関係や家庭に支えられていて、だからこそ前に進み続けることが出来たんでしょう。知性をもって人を結びつける才能があって、社交的な人。世の中に真理を示したいという考えの持ち主でした。女性に求められる役割の典型を飛び越えて、常に議論に臨んだ方です。彼女のジェンダー観、男女平等への試みは、多くの人が考えるべきものでしょう。」

『ビリーブ 未来への大逆転』フェリシティ・ジョーンズ
©THE RIVER

私たちは変わらなくてはならない

アメリカでは『On the Basis of Sex』、ズバリ「性差に基づいて」というタイトルで2018年12月に公開された本作。#MeTooムーブメントやハーヴェイ・ワインスタイン、ブレット・カバノー問題など今なお男女平等や性差別問題に揺れるタイミングに公開されたことについて、「すごくタイムリーだと思います。彼女は常に男女のステレオタイプを取り壊そうと心血を注いでいました。世の中では性差が人を制限しています」と警鐘を鳴らす。「まだまだ問題は山積する」と語るフェリシティはこう続けた。

今は変革のタイミングだと思います。特にテクノロジーが発達したおかげで、変化が時代に追いついてきたように感じられます。その変化とは、つまり個人が声をあげられるようになったということ。過去数十年には無かったことですよね。

今こそ、この変化を受け入れるべきだと思います。もちろん、変わることって難しいこと。でも私たちは変わらなくてはなりません。生き続け、適応するために。

『ビリーブ 未来への大逆転』フェリシティ・ジョーンズ
©THE RIVER

彼女が望む変化は、映画業界でも起こり始めている。パティ・ジェンキンス監督が手がけた『ワンダーウーマン』の成功はハリウッドに一石を投じた。本作『ビリーブ』だって、女流監督であるミミ・レダーが劇場向け長編映画としては2000年の『ペイ・フォワード 可能の王国』以来およそ18年ぶりに手がけている。これには背景があって、フェリシティより先にキャスティング候補になっていたナタリー・ポートマンが「監督には女性を」と熱望した名残だという。「その通りです」と認めるフェリシティに、ハリウッドにおける男女差の改善について聞いた。

「とても素晴らしいことだと思います。ワクワクしますよね。男女の監督、脚本家の比率がフィフティーフィフティーの光景が広がるといいと思います。個人的には、なぜこんなに時間がかかったんだろうとも思います。変ですよね。たまに、この映画で描いた1970年代みたいだなって。今はもう2018年(※インタビュー時)ですよ。

何事も、バランスがもたらされるのには時間がかかるものですね。私の友人の女性脚本家も、ここ最近で急に仕事が増えたと言います。数年前では考えられないくらいだって。女性による物語が、男性によるものと同様に重視されるようになってきていると思います。撮影現場にも、男性と女性が同じようにいると、自分はマイノリティなんだと感じることがなくなる。マイノリティでいることって、あまり良い心地はしませんからね。」

ちなみに「リベラル」を自負するフェリシティは、SNSはやらない派。「主に写真家やスタイリストから発せられる作品を見る用途にとどめています。」そんな彼女が気にしているのは「ワークライフバランス」で、「私は友人や家族を大事にしたいので、家庭をほったらかしにするタイプの人にはなりたくない」と笑う。「でも仕事も大好きだから、そのバランスには苦労します。重要なのはコミュニケーションと決断。自分の下した決断には自身を持つことですね。」

現在、名作バレエを原典とする映画『白鳥の湖(現代:Swan Lake)』が準備中。近況を尋ねると「脚本段階」と教えてくれたほか、アクション・アドベンチャー作品『The Aeronauts(原題)』の予定についても紹介してくれた。「『博士と彼女のセオリー』以来、エディ・レッドメインと再共演するんですよ。撮影もすごく過激でした(笑)。2019年の10月に公開予定です。」

なおフェリシティには、「スーパーヒーロー映画に出演するなら?」といった話題も尋ねている。以下の記事にてお楽しみいただきたい。

ヒーロー映画の話題にもノリノリ

撮り下ろしギャラリー

映画『ビリーブ 未来への大逆転』は、2019年3月22日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。

ビリーブ 未来への大逆転』公式サイト:https://gaga.ne.jp/believe/

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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