『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』カンヌ公式会見、詳細レポートが到着 ─ ディカプリオ&ブラピらが作品の魅力や背景、役づくりを語る

クエンティン・タランティーノ監督最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が、2019年8月30日(金)の日本公開に先がけること約3ヶ月、2019年5月21日(現地時間)に第72回カンヌ国際映画祭で世界初上映を迎えた。
大盛況の公式上映から一夜明けた5月22日(現地時間)には、クエンティン・タランティーノ監督、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーらが公式記者会見に出席。記者との質疑応答など、それぞれが作品づくりについて語ったレポートが到着した。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』カンヌ公式記者会見
Q. 本作が監督第9作となることについて
クエンティン・タランティーノ:自分の作品をそこまで意識していたわけではありませんが、結果として、今までの作品を総括するような部分が無意識に出ていたと思います。脚本を最初に読んだ一人は助監督のビル・クラークだったんですが――彼は『ジャッキー・ブラウン』(1997)からずっと僕の助監督を務めてくれて、『パルプ・フィクション』(1994)でも僕のアシスタントをしてくれました。彼なしで映画を作るのは想像できませんね。そのビルが、脚本を読むために僕の家に来てくれたんです。脚本は外部に出さないので、僕の家に来ないと読めないんですよ。ビルは「9作目はどんな感じですか?」と言って、プールサイドで脚本を読んでくれて。戻ってきたら「今までの8作が融合したような感じですね」と言いましたね。そんな風に考えたことはなかったんですが、確かにそういった部分もあちこちにあるのかなと思いますね。

Q. 映画の時代背景、マンソン・ファミリーについて
ブラッド・ピット:あの時代、(チャールズ・)マンソン事件が起こった1969年は、それまでフリーラブのムーブメントがあったり、希望に満ちあふれ、新しいアイデアがどんどん出て来て、映画も新しく変わろうとしていた時代です。そして、あの事件が起こり、シャロン(・テート)や、多くの人の悲劇的な犠牲があった。なぜ人々が(事件に)恐怖を覚え、今でも取り上げられるかというと、それは人間の闇を見つめることになる、暗く悲しい、極めて重要な出来事だからだと思います。純粋さが失われた瞬間だった。この映画は、そのことを素晴らしい形で表していると思っています。
クエンティン・タランティーノ:これだけ僕たちが(ファミリーに)興味を持ってしまうのは、果てしなく底知れないからだと思います。僕もかなりリサーチをしましたし、学術的ではないにしろ、多くの人が本を1, 2冊くらい読んだり、ポッドキャスト[※]を聞いたり、数年に1度くらいのテレビの特番なんかを見ているでしょう。彼が少女や少年たちを、どのように自分のコントロール下に置いたのか、本当に理解を超えていますよね。しかも知れば知るほど、情報を集めれば集めるほど、具体的になるけれども、何も解明されていかないし、逆にどんどん不可思議になってくる。解らない、本当の意味で理解することができないからこそ、引き込まれるのだと思いますね。