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『ミリオンダラー・ベイビー』アカデミー賞監督ポール・ハギスにレイプ疑惑 ─ 4名の女性が被害を告発

David Shankbone https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paul_Haggis_by_David_Shankbone.jpg

『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)『007 慰めの報酬』(2008)や『父親たちの星条旗』(2006)などの脚本を手がけ、『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)『クラッシュ』(2004)ではアカデミー作品賞に輝いた映画監督・脚本家・プロデューサーのポール・ハギスが、レイプ容疑で告発された。4名の女性が訴えている

発端は2017年12月、ハーレイ・ブリーストさんがポール監督よりレイプ被害にあったとして告訴、弁護側は言いがかりであるとして反訴を提起していた。弁護側は、「彼はレイプなどしていない」と主張している。

実名女性による告発「私が怖いんだろう」

ハーレイさんの告発によると、事件は2013年1月31日に行われた映画のプレミア・イベントでのこと。当時ハーレイさんはこのイベントで仕事をしていた。ポール・ハギス監督は映画『サイド・エフェクト』(2013)のプレミア上映にて、同作出演のジュード・ロウやチャニング・テイタム、ルーニー・マーラやキャサリン・ゼタ=ジョーンズらと姿を現した。

ハーレイさんは監督の自宅で飲むよう招かれたが、一度は拒否、しかし、監督が「自分のキャリアを左右できるほどの影響力を持つ、ハリウッドきってのエリート」であることから、止む無く従うことにした。

ポール監督は、彼女を自宅に入れるや否や、すぐに望まれぬセクハラとキスの強制に及んだ。キスの後、監督は彼女に「私が怖いんだろう、どうだ?」と言ったという。ハーレイさんが嫌がる反応をすると、監督はこう言い放った。「何を言っているんだ?このひと月、私とイチャついてくれたじゃないか。」

そして監督は、何度も嫌がる彼女を寝室に押し込むと、ハーレイさんのタイツを引き剥がし、指を押し入れた。監督はアナル・セックスが好きなのだと言い、レイプに及んだという。当時ハーレイさんは26歳、監督は59歳だった。

ハーレイさんはポール・ハギス監督に対し、PTSD、身体的被害、屈辱、ストレスと不安、自尊心の損失を訴え、懲罰的損害賠償と法的手数料を要求。監督はこの数日後、ハーレイさんの弁護士が告訴直前に900万ドルを要求したとして反訴を提起した。ハーレイさんの弁護士はこれに対し「馬鹿げている」と反発する。

3名の匿名女性が告発

これを受け、他に3名の女性が、同様に監督からのセクハラ被害を告発、うち1名がやはりレイプ被害に遭ったと主張した。この女性によれば、ポール監督は彼女にオーラル・セックスを強制し、その後レイプに及んだということである。3名の女性は、報復を防ぐため匿名で告発している。

匿名女性による告発1「お前は本当にこの仕事を続けたいんだろうな?」

3名の匿名告発のうち、最初の女性のケースは1996年のこと。当時テレビ番組でポール監督と仕事を共にしていた彼女は、夜遅くに監督のオフィスに呼ばれ、入室するや否や監督は無理やりキスを迫った。「私は引っ張られたんです。ジロジロ見られました。抵抗はしました。“お前は本当にこの仕事を続けたいんだろうな?”と言われて、無理やり迫られました。私は固まってしまって、何をされるかもわかっていなかった。」彼女の主張によれば、監督はその後オーラル・セックスを強制し、床に押し倒してレイプに及んだ。彼女は、ポール監督の業界への影響力を恐れ、当時は告発が出来なかったという。

匿名女性による告発2「オープン・リレーションシップ」

別の女性による告発も、やはりポール監督のオフィスに呼び出された時の出来事だ。そこで監督は、自分は妻とはオープン・リレーションシップ(婚約・同棲にかかわらず、複数の異性と関係を持つこと)なのだと伝えて、無理やりキスを迫った。この時点で彼女はオフィスを飛び出し、自分の車に飛び乗った。「どうやって生きて帰れるか、私の人生が終わったような気がしました。」この時彼女は車内から友人に電話でこの出来事を伝えている。その友人によって、このエピソードは裏付けが取られた。

匿名女性による告発3 自宅ドアの手前まで

最後の女性は、2015年にカナダで被害に遭った。当時彼女は20代後半で、ポール監督とは映画関係のイベントで知り合ったという。監督は腕を掴んで無理やりキスを迫り、彼女が逃げようとタクシーに乗り込むと無理やり同乗。タクシーが彼女の自宅に到着すると、監督は運転手に向かって現金を投げ、逃げようとする彼女に再びキスを迫った。監督は、彼女が自宅に駆け込みドアを閉めるところまで追いかけてきたということである。監督は室内の彼女に向かって手を振り、その後24時間、彼女がブロックするまで嫌がらせのテキスト・メッセージを送り続けたという。

過去にはハーヴェイ・ワインスタイン批判も

ポール・ハギス監督は、2017年に一大センセーショナルを巻き起こしたハーヴェイ・ワインスタイン事件へ批判の声を挙げていた人物だった。

ワインスタインは、アメリカの映画会社ミラマックスの設立者として、多くの名作映画を手がける強力な映画プロデューサー。2017年、ハーヴェイ・ワインスタインは数々の女優や関係者らからセクハラやレイプを告発され、映画業界から事実上の追放状態となった。これに対しポール・ハギス監督は2017年10月、ガーディアン紙に以下のように語っていた。

「ハーヴェイの行動によって、多くの人達が傷ついています。誰もが卑劣な行動だとお思いでしょう。でも、彼の取り巻きや擁護派にも目を向けなければなりません。私にとっては、そういう人物らも彼と同罪。いや、ある意味それ以上だと思いますよ。言うならば、彼はプレデターですね。

ポール・ハギス監督は、代表作のひとつに『告発のとき』(2007)がある。

Source:http://www.dailymail.co.uk/news/article-5240071/Paul-Haggis-accused-sexual-assault-rape-4-women.html
http://www.cbc.ca/news/entertainment/paul-haggis-sexual-misconduct-allegations-1.4475244
Eyecatch Image:
David Shankbone

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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