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「ルーニー・テューンズ」スカンクのペペ、『スペース・ジャム』続編から削除 ─ 「レイプ・カルチャーを強化する」と問題視の声、テレビ登場予定もなし

ペペ・ル・ピュー
Photo by Mark Anderson https://www.flickr.com/photos/andertoons-cartoons/4256483187/ Remixed by THE RIVER

「ルーニー・テューンズ」シリーズのキャラクター、“スカンクのペペ”ことペペ・ル・ピューが、『スペース・ジャム』(1996)の続編映画『Space Jam: A New Legacy(原題)』からカットされ、ワーナー・ブラザース製作のテレビシリーズへの登場予定もないことが判明した。米DeadlineThe Hollywood Reporterが報じている。

ペペ・ル・ピューは惚れっぽいプレイボーイだが、周囲を気絶させるほどの体臭を持ち、そのくせ自分の体臭には気づいていないというキャラクター。黒猫のペネロッピー・プッシーキャットをメスのスカンクと勘違いし、一方的に惚れ込んでは追いかけ回して口説き続けるのだ。もちろんペネロッピーは体臭のせいもあってペペの求愛を断り、嫌がって逃げることになるのだが……。

このキャラクターに注目が集まったのは、2021年3月6日、米The New York Timesのコラムニストであるチャールズ・M・ブロウ氏が「ペペ・ル・ピューはレイプ・カルチャーを強化する」存在だと記したためだった。“本人の同意を得ず、意志に反して女性を抱きしめキスをする、本人が嫌がっているのに離さない、あまつさえ部屋の中に閉じ込めてしまう”悪質なキャラクターだというわけである。

『スペース・ジャム』は“バスケット・ボールの神様”マイケル・ジョーダンとルーニー・テューンズのアニメーションが融合した映画で、ペペは同作に登場していた。レブロンジェームズ主演の続編『Space Jam: A New Legacy』にも再登場予定で、シーンの撮影は2019年6月に終了していたが、このたび、すでに本編からカットされていることが明らかになっている。

Deadlineによると、ペペは『カサブランカ』(1942)風のカフェのシーンにバーテンダーとして登場。女性にキスしたかと思えば椅子に叩きつけられ、女性から酒を注がれるも激しいビンタを受けていたところに、レブロン・ジェームズとバッグス・バニーがやってきて、ローラ・バニーの居場所をペペに尋ねるという場面だったという。ちなみに、ペペはペネロッピーへの接近禁止命令が出ているという設定だったそう。

もっとも、ペペ・ル・ピューの出番カットには別の背景がある。The Hollywood Reporterによると、カットの判断は1年以上前に下されていたといい、ブロウ氏による指摘とは無関係とみられるのだ。そもそも『Space Jam: A New Legacy』は撮影開始後に監督が交代しており、ペペの登場シーンは前監督のテレンス・ナンスが撮影したもの。後任のマルコム・D・リー監督がシーンの削除を決定したため、実写映像に合成するペペのアニメーションも制作されていなかったという。

もっとも、ペペと共演するはずだった女優のグレイス・サントは出演シーンのカットに動揺しているとのこと。グレイスは過去にセクハラ被害を告発し、ドメスティック・バイオレンスの被害者を支援する非営利団体を組織しているが、『Space Jam: A New Legacy』にはペペが受けるべき罰を受ける展開が用意されていたこともあり、撮影を楽しんでいたという。グレイスの代理人は、Deadlineに対して以下のコメントを発表している。

「たとえカートゥーンのキャラクターであれ、ペペのようにセクハラをする人物を叩く役割を演じることをグレイスは望んでいました。シーンがカットされたことで、映画を観る若い世代に、彼女が影響を与えることはできなくなってしまいました。ペペの振る舞いは容認できないものだということを、若い少年少女に伝えることもできなくなってしまったのです。」

ちなみにペペ・ル・ピューとペネロッピー・プッシーキャットは、必ずしもペネロッピーがペペを拒み続けるという関係性ではなく、逆にペネロッピーがペペに求愛するエピソードもあれば、公式に二匹が仲良しのキャラクターとして描かれているイラストなども存在する。

映画『Space Jam: A New Legacy(原題)』は2021年7月16日に米国公開予定。

Sources: Deadline, The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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