ジェイソンを超えられるか?スラッシャー映画界の狂犬ルーキー『PITCHFORK』登場!
一言にホラー映画と呼ばれるジャンルの中にも、さらに細分化しようと思えば実に様々な区分けが可能である。そんなホラー映画の細分化ジャンルの中から、今回は俗に『スラッシャー』(Slasher)と呼ばれる細分化ジャンルの新作の話題に触れたいと思う。
スラッシャー映画とは
ではこの、日本では日常的にはあまり多用しない「Slasher」という言葉はなんぞやということで、その意味を辞書で調べると、
- スラッシュ(slash)する人、もの
- (ナイフやカミソリなどで人を襲う)切り裂き魔
- 人体を切り刻んだりするホラー映画、スラッシャーもの映画
- (オーストラリア、ニュージランドにおいて)低木・下生えなどの切断用機械の名称
などと出ている。
つまり、語句の意味合いにまでも出てくるように、スラッシャー映画とは簡単に言うと、刃物などを使用して人を殺しまくるサイコパスが登場するホラー映画のことである。
もっとも代表的なものとして、誰もが一度は聞いたことがあるだろう作品で言うと、例えば『ハロウィン』(Halloween)シリーズや、『13日の金曜』(Friday The 13th)シリーズなどが挙げられる。そしてもちろん、そういったスラッシャー映画の主役と言えば、前述のように作品内に登場するアイコニックでサイコパスな殺人鬼の存在である。前者で言えばシャトナーマスクの貴公子ブギーマンことマイケル・マイヤーズ、後者ではもちろん、ホッケーマスクの騎士ジェイソン・ボーヒーズ、両者ともホラー映画界のプリンスとでも呼ぶべき存在であり、ホラー映画界に君臨する重鎮である。まあこの二人の他にも、当然その座を付け狙うスラッシャーな殺人鬼たちは山ほどいるが・・・。
そして、また新たに、そのスラッシャー王座争奪戦に参戦したルーキーの作品が登場している。グレン・ダグラス・パッカード(Glenn Douglas Packard)監督による、『Pitchfork』(ピッチフォーク)である。
スラッシャー界の新星、ピッチフォーク
『ピッチフォーク』の意味
タイトルになっている『Pitchfork』とは、一般的には木製の長い柄と、鉄製の長細く広がった鋭い歯を持つヨーロッパ起源の農具であり、刈り取った麦や干草、葉、ブドウの実、その他農の作物を持ち上げたり掻き集めたり、あるいは投げたりすることに使うものである。もともとフォークというのはこの農具を指す言葉で、この機能を模して発明された食器が皆さんもよく知るあのフォークなのだが、現在では食器の知名度のほうが高くなっているため、単なるフォークはむしろ食器のフォークの呼称として主に使われるようになっている。
このピッチフォークはたいてい2本から6本の歯を持っていて、その使用目的によって歯の長さや間隔は多様である。また、かつてのヨーロッパでは、ピッチフォークは剣や銃などの高価な武器が手に入らない人々の武器としても使用されていた。これは歴史モノの映画などでもよく目にする光景で、圧政に反旗を翻す農民や、あるいは荒れ狂う暴徒と化した住民が、ピッチフォークを武器として携えてながら、ワラワラと歩いているシーンなど目にすることがしばしばある。また昨今のサブカルチャーにおいては、悪魔が持つ武器として絵画などに描かれていることもある。
そして、このピッチフォークという名称こそが、本作品に登場する殺人鬼の名前なのである。ちなみに本名は、ベン・ホリスター・ジュニア(Ben Holister Jr.)。本作品でそのピッチフォーク役を演じているのは、ホルヘ・バルデス・イガの『ホテルチェルシー』(Hotel Chelsea)で知られるダニエル・ウィルキンソン(Daniel Wilkinson)である。
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