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なぜ『バズ・ライトイヤー』はうまくいかなかったのか、ピクサー社内で反省会 ─ 「観客が求めていたものと違ったのか」

バズ・ライトイヤー
© 2022 Disney/Pixar

バズ・ライトイヤー』(2022)はディズニー&ピクサー『トイ・ストーリー』シリーズでお馴染み、スペース・レンジャーのバズ・ライトイヤーの原点を描いたスピンオフ作品だ。約2億ドルと言われている製作費に対し、最終的な世界興行収入は約2.26億ドルと伸び悩んだが、この要因をピクサー内部で反省・検証を繰り返していることをピクサーのCCO(Chief Customer Officer=最高顧客責任者)が米THE WRAPのインタビューにて明かしている。

『トイ・ストーリー』シリーズのバズといえば、アンディ少年が誕生日にプレゼントされるおもちゃだが、『バズ・ライトイヤー』では冒頭に、アンディが1995年にバズのオモチャをもらったことと、これはアンディが当時夢中になった映画だ、というテロップが表示されるのみで、映画『トイ・ストーリー』に直接繋げられるような描写はない。あくまで、スペース・レンジャーのバズが活躍する独立したSF作品として終始する。

『ファインディング・ドリー』(2016)で共同監督を務めたアンガス・マクレーンがメガホンを取り、声優も『トイ・ストーリー』シリーズで長年バズの声を務めたティム・アレンからクリス・エヴァンスにバトンタッチされた意欲作ではあったものの、商業的な成功には至らなかった。ピクサーCCOであり、『モンスターズ・インク』(2001)『ソウルフル・ワールド』(2020)などでは監督も務めたピート・ドクターは社内で考察を重ねた上で、見えてきた事柄について下記のように語っている。

「私たちは皆、映画を愛しているので、数多くの自己分析、考察を行ってきました。私たちはあのキャラクターたちが大好きです。

うまくいかないというところに終着してしまったのは、恐らく、私たち観客に尋ねすぎてしまったからだと思います。彼らはバズのことを聞いて、『わぁすごい、それでポテトヘッドやウッディ、レックスはどこにいるの?』という感じでした。そこで彼らにSF映画を届けたら『えっ、何なの?』という感じでしたね。」

観客側が想定していたものと、実際の映画にギャップがあったということだろうか。ドクターは更にこう続けている。

「彼らがプレスリリースを読んでいたとしても、コンセプト面でも、キャラクターの描き方においても少しかけ離れていたのです。『バズ・ライトイヤー』はSFよりの作品でしたから。アンガスは感心なことに、そのことを真剣に、誠実に捉えていて、キャラクターを実在のキャラクターとして表したがっていました。

でも『トイ・ストーリー』のキャラクターはもっと幅広いですから、人々が求めていた、期待していたものと、私たちがお送りしたものの間に乖離があったのだと思います。」

高い人気を誇るピクサー作品の中でも『トイ・ストーリー』はとりわけファン層も広く、絶大な支持を受けるシリーズ。それだけに観客の期待やスピンオフ作品に求めるものも多岐にわたり、成功させることは非常にハードルが高かったのだろう。本家『トイ・ストーリー』は5作目の製作が決定したことが先日発表されたばかり。ティム・アレンも声優に復帰する意向とあって、また新たな名作の誕生に期待したい。

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Source:THE WRAP

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Yuka ShingaiYuka Shingai

携帯向け音楽配信事業にて社内SE、マーケティング業務に従事した後、妊娠・出産を機にフリーライターに転向。 映画とお酒と化粧品が好き。日課のオンライン英会話でもしょっちゅう映画の話をしています。

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