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理想の映画の上映時間は? ─ ポール・トーマス・アンダーソン監督「2時間であるべき」

ポール・トーマス・アンダーソン
Jürgen Fauth https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paul_Thomas_Anderson_%26_Daniel_Day-Lewis.jpg Remixed by THE RIVER

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)をはじめ、『アイリッシュマン』(2019)『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)『エターナルズ』(2021)『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021)など、この近年で話題となった数多くのハリウッド映画の上映時間は、2時間半を超えている。これを長く感じる方もいれば、時間を忘れて没頭する方もいるだろう。

果たして、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)『ザ・マスター』(2012)など数々の傑作を世に放ってきた若き巨匠、ポール・トーマス・アンダーソンはどのように考えているのか?

この度、The New York Timesのインタビューにてアンダーソン監督は、テレビ界への進出の可能性に話が及んだ際に、監督本人にとっての理想的な映画の上映時間を明かした。“リミテッドシリーズ=ワンシーズンのみのドラマ”は「成功すれば素晴らしく刺激的な形式」としながら、“シリーズドラマ”については「2〜4シーズン以上にわたり物語に命を吹き込み続けるのは非常に難しいこと」と持論を述べている。そんなアンダーソン監督は、最新作『Licorice Pizza(原題)』を含め、9本の長編映画をこれまでに発表してきたが、テレビドラマを手がけたことは一度もない。「誰からも頼まれなくて。僕はただ自分の領域の片隅でやっているだけです」。

アンダーソン監督いわく脚本家は、膨大な素材・情報量をまとめることに苦労していると、映画ではなく、リミテッドシリーズとして製作するべきと空想してしまうことがあるとした上で、「実際にはそうするのではなくて、物語を上手く整理する必要があるだけなのです」と持論を展開した。「映画は出来れば、2時間であるべきでしょう。それが最高の状態ですから」。とはいえ、アンダーソン監督の長編映画で、2時間を切っている作品は数少ない。『ハードエイト』の1時間42分、『パンチ・ドランク・ラブ』(2002)の1時間35分のみである。そのほかは以下の通り。

  • 『ブギーナイツ』(1997):2時間35分
  • 『マグノリア』(1999):3時間8分
  • 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 』(2007):2時間38分
  • 『ザ・マスター 』(2012):2時間30分
  • 『インヒアレント・ヴァイス』(2014):2時間28分
  • 『ファントム・スレッド』(2017):2時間11分
  • 『Licorice Pizza』(2021) 2時間 13分

フィルモグラフィーからもわかるようにアンダーソン監督にとっても、2時間で物語を収めることは容易ではないようで、「僕は何度もそこから外れてしまいましたが、それが本当の目標」だという。

ちなみにポール・トーマス・アンダーソン監督最新作『Licorice Pizza(原題)』は、2021年11月26日より一部劇場にて米国公開中。『ファントム・スレッド』以来の監督作となる本作は、アメリカ・ロサンゼルスのサンフェルナンド・バレーを舞台にした青春物語だ。

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Source:The New York Times

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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