『レンタル・ファミリー』大阪出身のHIKARI監督が伝えたかったこと ─ 「生きてれば、悩むことだってあるじゃない?」【インタビュー】
『ハムナプトラ』シリーズで活躍し、『ザ・ホエール』(2022)ではアカデミー賞®主演男優賞に輝いたオスカー俳優のブレンダン・フレイザーを主演に迎え、日本を舞台に、日本人監督と日本人キャストと共に製作された映画『レンタル・ファミリー』が日本公開となった。
ハリウッド作品でありながら、オール日本ロケを敢行した注目作。主人公は、かつての日本の歯磨き粉CMで有名になった外国人俳優フィリップ。日本に居心地の良さを感じて暮らし続けていたが、俳優としては落ちぶれていた。そんな中、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。フィリップはさまざまな日本の友人たちと出会い、生きる喜びを見出していく……。
この感動的な作品で監督を務めたのは、アメリカで活躍する大阪出身の日本人監督、HIKARI。長編デビュー作『37 セカンズ』(2019)でベルリン国際映画祭ほか世界中の映画祭で注目を集め、「BEEF/ビーフ」、「TOKYO VICE」などの話題作を手掛けてきた注目のクリエイターだ。
THE RIVERはHIKARI監督にオンラインインタビューを実施。親しみやすい関西弁で、HIKARI監督は本作で伝えたかった愛のメッセージについて優しく語ってくれた。

このインタビューではHIKARI監督のほか、主演ブレンダン・フレイザー、共演の平岳大と山本真理にも話を聞いている。HIKARI監督から逆質問が飛び出したり、ブレンダン・フレイザーが別のインタビューに乱入したり、得意の日本語も炸裂した特別取材の様子は、ぜひ動画でもお楽しみいただきたい。
『レンタル・ファミリー』HIKARI監督 インタビュー
──HIKARIさん、初めまして!こちらは東京です。『レンタル・ファミリー』鑑賞させていただきました。とても心に響く作品でした。涙が止まりませんでした。
わざわざ東京から、嬉しい!本当?私がインタビューしたい。どういうところで涙が止まらなかった?
──ネタバレにならないように言うと、柄本さんが演じた喜久雄が辿ったドラマと、ずっと付き添っていたフィリップの行き着いた先に、涙が止まらなくて……。
嬉しい!ありがとう。

──題材はレンタル家族というユーモアがあるものでしたが、孤独でいてもいいし、不安を感じてもいい、何かのフリをしてもいい、不完全でいてもいいし、誰かを頼ってもいいというメッセージを感じました。世の中誰もが取り繕っているが、不安定なもの、不完全なものを抱えているよね、でもそれでいいんだよ、ということを優しく包んでくれる。劇中でも、日本ではメンタルヘルスの理解がまだ進んでいないというセリフもありましたね。この題材は、どのような思いで選ばれて、どのようなメッセージを持たせることを目指されたのでしょうか?
ありがとうございます!すごく嬉しい質問。言ってくれたように、完全じゃなくていいよ、って。別に、家族はパーフェクトじゃなくても、周りにいる人たち、友達がファミリーになる時だってあるし。不完全でも、自分の中で、「今日は楽しかったから、よかった!」と。心がハッピーになれば、それが100%だと思っていて。
この映画を作ったのは、そのメッセージを伝えたかったから。生きていれば、悩むことって、あるじゃない?子どももそう、大人になってもそうだし。
でも「答え」っていうのは自分の中にある。こうかなぁ、ああかなぁって色々考えて。どっちか迷った時に、ピンと来た方を選ぶ。自分の人生で迷ったときは、自分の中に答えがあると私は信じているから。そこを辿れば、それが良い結果でも悪い結果でも、それがその瞬間に私たちが進み行く道なのであって、間違いではないんだよ、ということを私はみんなに伝えたかったかな。深い話になっちゃうんだけど。
自分が選んだ道が行きたい道ではなかったとしても、そこに絶対に学びはあるし、そこで出会う人たちも絶対いるし、そこから次に辿る道はどこに行くかわからない。その時に自分自身を信じていれば、絶対に良い方向に向かっていくと私は信じている。それを日本中、世界中の人たちに伝えたかった。

──その優しさ、全てを肯定してあげるメッセージをよく感じました。誰が観ても、心を包んでくれる作品になっていると思います。
それは嬉しい、ありがとう!本当に嬉しい!
──日本が舞台になっています。日本の文化もユーモラスに描かれていますが、八百万の神など、日本人が持つ精神世界にも触れられていました。この作品を世界の観客に向けて届けていく中で、まだ他の作品では描かれていないような、深みある日本像をどのように紹介したいと考えましたか?
八百万のこととか、神社の奥には何があるのかなど、日本人でも知らない人はいると思うんです。神様がいると思って手を合わせていたら、実は……ということもね。世界中の人たちに、日本の文化というか、奥深い考えを伝えたかった。
そういうカルチャーは日本だけでなく、世界中のいろんなところに色々あります。日本でありながらも、世界中の人に届く普遍的な物語。信条や、人へのリスペクトというところも含めて、世界中の人に届くといいなと思いましたね。

──レンタル・ファミリーを題材にするときに、必ずしも主人公が外国人である必要はないというか、そうでなくても成り立つところは大きいと思います。あえてブレンダン・フレイザーが主演を務めることによって、異なる環境・異なる文化の人が他人の家庭の事情に入っていくことの難しさとか、ユーモアが際立っていたと思います。この物語、この題材を外国人の視点で描きたい、しかも日本でやりたいと思われたのはなぜですか?
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