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クリント・イーストウッド監督最新作『リチャード・ジュエル』米国版予告編 ─ 撮影開始から約3ヶ月、米国公開まであと2ヶ月

https://www.youtube.com/watch?v=LRwlY5TDye0

『運び屋』(2018)『アメリカン・スナイパー』(2014)『グラン・トリノ』(2008)などの巨匠クリント・イーストウッド監督による最新作『リチャード・ジュエル(邦題未定、原題:Richard Jewell)』の米国版予告編が公開された。あわせて、本作が2020年に日本公開となることも判明している。

「新しいテープだ。リチャード、君の声のサンプルが必要だから、この電話で“センテニアル・パークに爆弾がある、あと30分だ”と言って欲しい」。ヒーローだったはずの主人公リチャード・ジュエルに、暗い取調室と思しき場所で、刑事の男ふたりが要求する。

本作は1996年のアトランタ・オリンピックで発生した爆破事件を題材に、爆弾を発見した警備員であるリチャード・ジュエル氏の顛末を描く。ジュエル氏は観客を避難させるなど被害を最小限に抑えることに貢献し、英雄扱いされるが、のちに警察関係者から「犯人の疑いがある」との情報が流出したことで世間から犯人扱いを受けた。のちに真犯人が逮捕されて疑いは晴れたが、本人の社会的・精神的な回復がなされないまま、ジュエル氏は事件から11年後の2007年に44歳で他界している。

「ジュエルの人物像は孤独な爆弾魔と一致します。ヒーローになりたがっている、フラストレーションを抱えた白人の警備員ですよ」。女性記者が口にすれば、上司と思しき男は「追いかけよう」と口にする。ジュエルの弁護士を務める男は、「君は容疑者だ。君は話すな、僕が話す。繰り返せ」と語りかける。ジュエルは戸惑いながらも「僕は話さない」と口にするが、取調室では刑事から「これが君の汚名をそそぐ唯一の方法かもな。“センテニアル・パークに爆弾がある、あと30分だ”と言って欲しいんだ」と迫られる。

弁護士はジュエルに「いいヤツであろうとするのはよせ」と告げる。ジュエルが「権力に敬意を持てと教わってきた」と言えば、弁護士は「その権力が君を取って食おうとしてるんだ」。しかし、ジュエルは取調室で刑事の要求に応じる。求められた言葉を何度も何度も繰り返すのだ。女性記者が新聞を取り出して「事実を伝えてます」と言えば、弁護士は「君はこの男性の人生をメチャクチャにした」と一言。ジュエルの母は「息子は人々の命を救ったんです」と訴え、本人には「あなたをどうすれば守れるのかわからない」と涙を流す。そして刑事は、弁護士に「君の依頼人はクロだ」と宣言するのだ。しかしジュエルはとうとう、「やり返す準備は?」という弁護士の言葉に静かに頷く。

早撮りで知られるクリント・イーストウッドは、本作『リチャード・ジュエル』の撮影を2019年6月下旬に開始し、わずか約3ヶ月で予告編を完成させるに至らしめた。米国公開は2019年12月13日なので、あと2ヶ月強。おそろしいスピード感で製作された映画だということがわかるだろう。

主人公リチャード・ジュエル役は、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)『ブラック・クランズマン』(2018)でずば抜けた存在感を発揮した怪優ポール・ウォルター・ハウザー。ジュエル氏の弁護士を『スリー・ビルボード』(2017)でアカデミー賞に輝いたサム・ロックウェル、ジュエルの母親を『ミザリー』(1990)「アメリカン・ホラー・ストーリー」シリーズのキャシー・ベイツが演じ、「Dr.HOUSE」(2007-2012)のオリヴィア・ワイルド、『ベイビー・ドライバー』(2017)のジョン・ハムも出演する。

原作は米Vanity Fairで発表されたマリエ・ブレンナー氏の記事「The Ballad Of Richard Jewell」で、脚本は『キャプテン・フィリップス』(2013)のビリー・レイが執筆。プロデューサーとして、かつて本作に出演予定だったジョナ・ヒル&レオナルド・ディカプリオも参加している。

映画『リチャード・ジュエル(邦題未定、原題:Richard Jewell)』は2020年公開

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Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。