リドリー・スコット、『トップガン マーヴェリック』監督を断っていた ─ 前作監督は亡き弟トニー・スコット「弟を追いたくない」

最新作『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』も話題の巨匠リドリー・スコット監督が、トム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』(2022)のオファーを断っていたことがわかった。前作『トップガン』(1986)は、2012年にこの世を去った実弟トニー・スコットが手がけた作品だったが、リドリーは自身が後任の座に就くことを良しとはしなかったのだ。

もともと『トップガン』の続編企画は、2010年にトニーが監督として続投する予定で動き出したものだった。トニーは「リメイクではなく新しい映画を作りたい」として、脚本家のピーター・クレイグ(完成版にもクレジットされている)とともに脚本を完成させていたが、2012年8月に死去。企画は一時保留となり、再始動にはしばらく時間を要した。
米The Hollywood Reporterにてリドリーが明かしたところによると、トニーの死後、製作陣はリドリーに監督のオファーを出していたという。「『トップガン:マーヴェリック』を観るのは変な気持ちではありませんでしたか?」と尋ねられた際、リドリーは「そんなことはない」と即答した。
「(監督の)打診をもらいましたが、“弟を追いかけることはしたくない”と断ったんです。トニーは常に現代に興味を持っていましたが、私の作品は、多くが歴史ものかファンタジー、サイエンス・フィクションのどれか。トニーはファンタジーが好きではなかったんですよ。『エイリアン』や『ブレードランナー』『レジェンド/光と闇の伝説』のようなものはね(※編注:すべてリドリーの監督作品)。」
もっとも、リドリーは『トップガン マーヴェリック』に複雑な思いを抱いてもいるよう。試写会ではプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーらに好意的な感想を語ったというが、『エイリアン:ロムルス』(2024)のフェデ・アルバレス監督は、リドリーから「弟の作品がオリジナルだから、今回のはちょっとね……」という反応を個人的に聞いたことを明かしている。
過去には『ブラックホーク・ダウン』(2001)や『G.I.ジェーン』(1997)など、弟トニーの作風にも通じる映画を手がけていたリドリー。もしも監督就任を引き受けていたら、ジョセフ・コシンスキー監督による完成版とはまた異なるビジョンの映画となっていたことだろう。
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Source: The Hollywood Reporter