名優ロバート・レッドフォード、引退宣言の胸中は?関係者は引退を否定【コメント全文和訳】
『明日に向って撃て!』『スティング』『スパイ・ゲーム』など、出演作のタイトルを挙げはじめたらキリがないほどの名優ロバート・レッドフォードが、俳優業からの引退を宣言した。すでに日本国内でも大きな話題となっているニュースだが、ロバートのエージェントは引退を一部否定している。本記事では引退宣言の一部始終とともに、エージェントによるコメントをあわせて紹介したい。

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引退宣言は愛孫との対談企画で
今回の引退宣言は、ロバート・レッドフォードと、その孫であるディランが対談した場で飛び出したものだ。この対談はアメリカの美術館「ウォーカー・アート・センター」が企画したもので、ロバートが“物語”をキーワードに自らの生涯を語るという趣旨で行われた。
今でこそ映画界きっての俳優兼映画監督として知られるロバートだが、実は映画界に入る前には画家を志していたという。ロバートが当時を振り返るくだりから、俳優引退を宣言するまでを、余すところなくお読みいただきたい。
ディラン: まだキャリアの浅い頃、画家だったことがあるよね。物語を作ることや、のちに映画を撮ることへの影響について、当時のことをどう考えてるの?
ロバート: 18歳か19歳の時、私は画家として出発した。アメリカを出たかったし、新しい方法で世界を見てみたかったんだ。だからヨーロッパで画家になった。スキルを磨いて、絵を描くことで物語づくりを探求していたんだ。やっていて、(絵を描くことが)大好きだとわかった。あとで俳優になってからは、仕事にする自信がなくて4、5年苦しんだよ。本当に画家になりたかったからね。

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ロバート: 私は絵を描きスケッチをしていたかったし、絵で物語を伝えたかった。でも、どうしてふたつを一緒にできないんだ?って思ったのさ。それが監督になるきっかけだった。『普通の人々』(1980年)は私が監督業に挑んだ最初の作品だ。映画製作の専門用語がわからなくて、“よし、絵コンテ通りにやる”って言ってた。私が欲してるものを、チームのメンバーや技術スタッフに説明しなきゃならなかったからね。どんな感じがいいかはわかってたから、カメラマンや美術監督に絵を描いて見せた。その時、私は画家の部分を失っていないと思ったよ。今は俳優の部分でやってるんだ。
ディラン: 画家に戻ろうと考えたことはないの?
ロバート: ああ、あるよ…たくさんある、最近ね。演じることに疲れてるんだ。せっかちだから、ぼーっと椅子に座ったり、何度もテイクを重ねるのが辛いのさ。80歳になって、もっと満足したいんだよ。誰にも依存してないしね。私自身は昔のままだから、頭がハッキリしているうちに、スケッチやその手のことに戻りたいんだ。だから監督業に移って演技をやらないことを考えてる。進行中のプロジェクトが2つあるんだ、『アワー・ソウルズ・アット・ナイト(原題)』と『オールド・マン・ウィズ・ガン(原題)』さ。(作品説明略)それが終わったら“よし、さよならだ”って言うよ。あとは監督業だけに集中する。

エージェントは引退を一部否定
もっとも、ロバートのエージェントを務めているPMK*BNC社のシンディ・バージャー氏は引退宣言を一部否定している。
「ロバートは演技業からすぐに引退するわけではありません。彼には今後もいくつかのプロジェクトがあるからです」
このコメントだけならロバートの宣言と矛盾しないものの、バージャー氏は『アワー・ソウルズ・アット・ナイト』『オールド・マン・ウィズ・ガン』のあと引退するわけではないと付け加えている。ただし彼女はそれ以上の情報を明らかにしていない。
名優ロバート・レッドフォードの進退ははたして……。今後の情報にも注目したいところだ。
sources: http://blogs.walkerart.org/filmvideo/2016/11/10/dylan-robert-redford-storytelling
http://deadline.com/2016/11/robert-redford-to-retire-from-acting-after-next-two-movies-1201853011/
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