【解説】既に『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』が成し遂げた3つの「発明」とは

スターウォーズのアナザーストーリーとなる映画『ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー』の新たな予告編が公開された。この予告編を観ただけでも既にローグワンがファンにとって革新的な発明を成し遂げているように思う。
今回は、ローグワンが現時点(2016年8月)で提示してくれた『3つの発明』について解説したい。まだ第二弾予告編をご覧になっていない方は、先にこちらの映像を観ておこう。
発明その1:モチーフの再解釈
スターウォーズ・シリーズに登場する戦闘機などのデザインは、実は至ってシンプルなモチーフの組み合わせによって成り立っている。よく見ると、三角形や球体、アルファベットの形といった誰にも馴染みのある普遍的な図形をデザインに落とし込んでいる事がわかるだろう。
例えば、帝国軍の主力艦船であるスター・デストロイヤーは、上から見ると三角形、前後から見ると菱型になっている。同じく帝国軍の小型戦闘機タイ・ファイターは球体のコクピットの左右に六角形のソーラーパネルを取り付けただけだ。
反乱軍の主力戦闘機であるX-ウイング、Y-ウイング、A-ウイングなども、その名称からわかるようにアルファベットを模ったフォルムとなっている。また、『フォースの覚醒』で新登場したBB-8は球体の上に半球体を載せただけのシンプルなデザインで、アルファベットのBを2つ、背中合わせに組み合わせた形や数字の8のような形に見える事からBB-8という名前が付いているほどだ。
丸や三角、アルファベットや数字といった普遍的モチーフを取り入れたスターウォーズのデザインの中でも、遊び心ある例が歴代スターウォーズ・ヒロインたちのヘアスタイルである。
映画の時系列順に考えると最初のヒロインであるアミダラ姫ことパドメは髪を1つに縛っていた。その娘であり、クラシック三部作のヒロイン、レイアは左右の耳の上で2つに縛ったヘアスタイルが特徴的だった。そして『フォースの覚醒』以降の新世代ヒロイン、レイは後頭部で3つに縛っている。このように、ヒロインのヘアスタイルは1→2→3と変化しているという見方がある。
しかし、ローグワンはある発明によって、既存のモチーフを再解釈し、観るもの全てに『見慣れているのに新しい』と感じさせるという離れ業をやってのけた。それは、『丸の再解釈』である。
頭のなかで想像してほしい。丸がひとつあったとさ。それを180度ひっくり返すとどうなるだろう。
相変わらずの丸である。何を言っているんだと思われるかもしれない。
しかし、遥か彼方の銀河系には、上下にひっくり返すと全く異なる形になってしまう球体というのが存在する。そう、デス・スターだ。
1978年、あのオビ=ワン・ケノービに「あれは月ではない、宇宙ステーションだ」と言わしめたその瞬間から、デス・スターはあの絶対普遍的デザインをもって我々の脳裏に焼き付いた。