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『ROMA/ローマ』アカデミー賞3部門受賞、アルフォンソ・キュアロン監督が快挙達成 ─ ドキュメンタリーも3年連続で成果示す

ROMA/ローマ
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中

Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』が、2019年(第91回)アカデミー賞にて、監督賞(アルフォンソ・キュアロン)・外国語映画賞・撮影賞(アルフォンソ・キュアロン)の3部門を受賞。同じく、Netflixオリジナル作品『ピリオド -羽ばたく女性たち-』が短編ドキュメンタリー賞を受賞した。

『ROMA/ローマ』は『ゼロ・グラビティ』(2013)アルフォンソ・キュアロン監督の最新作で、脚本・撮影までを兼任した渾身の一作。自身の幼少期の体験も交え、1970年代のメキシコ・ローマ地区を舞台に、中産階級の家庭で家政婦として働く女性クレオ(ヤリッツア・アパリシオ)の視点から、激動の一年間の出来事をモノクロの映像で描いたヒューマンドラマだ。第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で金獅子賞(最高賞)を受賞、第76回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞・監督賞に輝いた本作は、アカデミー賞の結果が注目を集めていた。

第91回アカデミー賞にて、キュアロン監督は監督賞・撮影賞の同時受賞を達成。アカデミー賞において、監督賞と撮影賞を同じ人物が受賞するのは初めての快挙となった。なお、キュアロン監督が監督賞に輝いたのは『ゼロ・グラビティ』以来2度目の栄誉となる。このたび、キュアロン監督による受賞スピーチの全文が到着している。

『ROMA/ローマ』アルフォンソ・キュアロン監督受賞スピーチ

ROMA/ローマ
Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中

監督賞 受賞スピーチ

ありがとうございます。ここに立てるのはいつになっても新鮮な気持ちになります。ギレルモ(・デルトロ)とこうしてここに立てるのも、いつになっても新鮮な気持ちです。本当に多くの人にお礼を申し上げたいです。

まずはもちろん、ヤリッツァ(・アパリシオ)とマリーナ(・デ・タビラ)。あなたたちこそがこの映画です。(そのほか関係者に感謝を述べて)ギレルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥとヒラリー・ホームズに感謝します。バミューダ・トライアングルで迷子になってしまう前にメモを見ます。先住民の女性を中心にした映画を認めてくれたアカデミーに感謝を。

彼女は、労働者の権利を与えられないまま仕事をしている、世界中の家庭内労働者7,000万人の1人であり、映画においても歴史的に画面の背景へと追いやられ続けてきたキャラクターです。アーティストである我々の仕事は、他の人が目を向けないところに目を向けることです。目を背けることを促される時代だからこそ、その責任はより重大なものになるのです。(スペイン語で)ありがとうリボ、ありがとう僕の家族、ありがとうメキシコ。」

外国語映画賞 受賞スピーチ

ありがとうございます。僕も字幕がつけられちゃうのかな?(キャスト・スタッフに礼を述べて) 僕は外国映画を観て育ち、多くのことを学び、大いにインスパイアされてきました。『市民ケーン』(1941)、『ジョーズ』(1975)、『羅生門』(1950)、『ゴッドファーザー』(1972)、『勝手にしやがれ』(1960)などです。

ヌーヴェル・ヴァーグについての本の中で、クロード・シャブロル(映画監督)は「波(ヴァーグ)などない、あるのは海だけだ」と言いました。今夜ノミネートされた方々は、我々が同じ海の一部であることを証明したと思います。家族、メキシコ、海の源であるビーチに感謝を。僕の漂いを押しやってくれる流れであるオルモ、ブー、ホナスにも。

撮影賞 受賞スピーチ

大変光栄です。映画のたった1つのコマを作るには、皆様ご存知のように、多くの人の、多くの大変な尽力が必要です。ですから、まずは誰よりも先にヤリッツァ(・アパリシオ)とマリーナ(・デ・タビラ)にお礼を言いたいです。

(そのほか関係者に感謝を述べて)この作品が自分の記憶から作られているものだとすれば、この作品を形作ったのは、ある偉大なる撮影監督が我々に与えてくれたものの記憶でもあります。ビリー・ワイルダーのオフィスに、「ルビッチだったらどうしただろう?」というサインがあったのは有名な話ですが、僕にとっては「チーヴォ(エマニュエル・ルベツキ※1)だったらどうしただろう?」でした。だからこの賞はチーヴォ、君の賞でもある。メキシコ、そして僕の家族にもありがとうと言いたいです。

※1:『ゼロ・グラビティ』や『トゥモロー・ワールド』(2006)など、キュアロン監督作品に多数参加してきた撮影監督。『ROMA/ローマ』でも撮影監督を務める予定だったが、本作の準備作業に時間がかかったため、スケジュールの都合上、撮影開始を前にして企画を離脱している。

『ROMA/ローマ』のアカデミー賞受賞にあたり、Netflixコンテンツ最高責任者のテッド・サランドス氏は以下のようにコメントした。

「アルフォンソをはじめとする、本作の製作に関わったすべての皆さんに大きな功績をお祝い申し上げます。これまで無名に近かったキャストが好演したモノクロのスペイン語映画を、このように世界中の視聴者に届けることができたことを大変嬉しく思います。最優秀外国語映画賞、最優秀監督賞を含めた計3部門において歴史あるアカデミーに受け入れていただけたこと、またそれを支えたチームを大変誇りに思います。」

なおNetflix作品では、インドの田舎村で安価な生理用ナプキンを製造した女性たちを追った『ピリオド -羽ばたく女性たち-』が短編ドキュメンタリー賞を受賞。ライカ・ゼダブチ監督は「生理についての映画がアカデミー賞を受賞するなんて信じられません」、プロデューサーのラメリッサ・バートンは「ピリオド(生理)は文章を終わらせるものであって、女性の教育を終わらせるものであってはいけないのです」と述べた。ドキュメンタリー部門をNetflix作品が制するのは3年連続となり、今後もさらなる注目が集まりそうだ。


Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』独占配信中
『ROMA/ローマ』配信ページ:https://www.netflix.com/title/80240715

Netflixオリジナル作品『ピリオド -羽ばたく女性たち-』独占配信中
『ピリオド -羽ばたく女性たち-』配信ページ:https://www.netflix.com/title/81074663

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