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『レディ・プレイヤー1』ホラー映画シーン、当初は『ブレードランナー』の予定だった ― 名作アクションの影響も判明

レディ・プレイヤー1
© Warner Bros. 写真:ゼータ イメージ

スティーヴン・スピルバーグ監督作品、映画『レディ・プレイヤー1』は、劇中で数々引用されるポップカルチャーへの敬意はもちろん、スピルバーグが長年にわたってその身を捧げてきた「映画」への敬意とメッセージが詰まった一本だ。その象徴となるのが、映画中盤で主人公ウェイド/パーシヴァルたちが直面する“ホラー”な一場面である。

しかし脚本を執筆したザック・ペンによれば、この場面は当初完成版とは違う形で構想されていたという。そもそも原作小説『ゲームウォーズ』(上下巻、SB文庫刊)において、該当部分にはまったく違う展開が用意されているのだ。
完成版の展開が用意されるまで、脚本はどんな経緯をたどっていたのか? ザック氏本人がインタビューにて明らかにしている。

注意

この記事には、映画『レディ・プレイヤー1』のネタバレが含まれています。

レディ・プレイヤー1
© Warner Bros. 写真:ゼータ イメージ

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『シャイニング』ではなく『ブレードランナー』

原作小説『ゲームウォーズ』において、ジェード・キー(翡翠の鍵)をめぐる試練は映画『ウォー・ゲーム』(1983)になぞらえて行われる。映画の世界が完全に再現された中で、ウェイド/パーシヴァルはマシュー・ブロデリック演じる同作の主人公デビッドを文字通り「すべて演じきる」必要があるのだ。

映画『レディ・プレイヤー1』では、このアイデアがさらに発展された形で取り入れられている。VR世界の創設者ジェームズ・ハリデーがデートで観た映画『シャイニング』(1980)の舞台にウェイドたちが入り込み、そこで翡翠の鍵を探さなければならないのだ。スタンリー・キューブリックによる作品世界をスピルバーグが撮ること自体、映画ファンにとっては衝撃的といっていいだろう。

こうした変更のきっかけは、本作の脚本にも参加した原作者アーネスト・クラインの“とある思い入れ”だったそうだ。米CinemaBlendのインタビューにて、ザック氏はこう述べている。

「アーニー(アーネスト)は『ラスト・アクション・ヒーロー』の大ファンなんです。大きな変更は[中略]“『ラスト・アクション・ヒーロー』にしましょう。映画の中に放り込んじゃえ!”っていうふうにしたところですね。なんの映画にせよ、映画の中を冒険するのは面白くなるだろうと。アーニーは“まさに。その通りです”って。」

『ラスト・アクション・ヒーロー』は、1993年に公開されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演のアクション映画。主人公の小学生が映画の中に飛び込んで冒険を繰り広げる同作には、『ターミネーター2』(1991)や『氷の微笑』(1992)など他の映画からキャラクターや俳優たちが登場することになる。『レディ・プレイヤー1』では、こうした内容がそのまま踏襲されているのだ。

またザック氏によれば、脚本の初稿において、この試練では『シャイニング』ではなく『ブレードランナー』(1982)が予定されていたそうだ。同作を観ている人ならおなじみ、フォークト=カンプフ検査も登場していたとか……。
この構想が不採用となってしまったのは、本作を手がけたワーナー・ブラザースが『ブレードランナー 2049』(2017)の製作を決めていたからだという。『レディ・プレイヤー1』は当初2017年12月に米国公開される予定だったため、その通りに進行していれば、両作の公開時期は2ヶ月ほどしか違わなかったのである。そこで代わりに選ばれたのが『シャイニング』だったわけだが、作品のタッチが一変するという意味でも、結果的に大成功だったのではないだろうか?

ちなみに米The Playlistのインタビューにて、ザック氏は本作に『ブレードランナー』のイースターエッグを入れようとしていたことも明かしている。

「誰かがデッカードの車(スピナー)を運転してる場面を書いたんですけど、(使用)許可が下りなくて撤回しました。『ブレードランナー』からの引用を嫌がってたわけじゃないんですよ。銃(ブラスター)を出せたら超クールだったでしょうね。」

映画『レディ・プレイヤー1』は2018年4月20日より全国の映画館にて公開中

『レディ・プレイヤー1』公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/

Sources: CB(1, 2), The Playlist
© Warner Bros. 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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