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スカーレット・ヨハンソン、70年代アメリカの「風俗街の帝王」演じる ― 『ゴースト・イン・ザ・シェル』監督と再タッグ

©THE RIVER

マーベル・シネマティック・ユニバース作品のブラック・ウィドウ役、実写映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017)などで知られる女優スカーレット・ヨハンソンが、非常にチャレンジングな新作映画に挑む。

米Deadline誌によれば、新作映画『Rub & Tug(原題)』でスカーレットが演じるのは、1970~1980年代に実在した“風俗街の帝王”ジーン・マリー・ジル。身体的には女性、精神的には男性だったとされ、ダンテ・“テックス”・ジルとの名前でも知られていた人物である(映画に登場するのがジーン本人なのか、正確にはジーンを題材とする別の人物なのかは不明)。

1970年代、アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグの風俗街にて違法マッサージ店を複数経営し、売春の斡旋やドーピング剤の取り扱いによって自らの“帝国”を築いたジーンは、ゲイ・コミュニティにおいて強力な仲間を得ていき、その力を強めていったとされる。派手な装いで、酒を飲んではアイリッシュ・ポエトリー(アイルランド語と英語を混合した詩)をまくしたてる、明るい人物だったそうだ。1978年、経営するマッサージ店に警察が踏み込んだ際には、潜入捜査官にバースデー・ケーキを投げつけたというエピソードもある。

「ビジネスの手腕に長け、性的混乱を体現し、マイケル・ジャクソン以来のファッションが目を惹く」などと語られたというジーンは、その反抗的な振る舞いによって、警察からも敵対する犯罪組織からも目をつけられていたようだ。従業員の一人が手紙に仕込まれた爆弾によって殺害されたり、店舗に不審火があがって死者が出たりと、とうてい「本人は明るい人物だった」では済まされない事件が多発しているのである。1983年に税金詐欺の疑いで逮捕された際には懲役12年が言い渡されたが、24時間以内にマッサージ店を3店舗閉店したことで懲役3年の減刑を受け、1987年に釈放。72歳でその生涯を終えている。

この豪快すぎる人生を映画化するのは、なんと『ゴースト・イン・ザ・シェル』でスカーレットとタッグを組んだルパート・サンダース監督。脚本は『バリー・シール/アメリカをはめた男』(2017)のゲイリー・スピネリが執筆し、映画化にあたっては、主人公ジーンとガールフレンドであるシンシアの恋愛も物語の核になるそうだ。なお、製作には大御所プロデューサーのジョエル・シルバーやスカーレット自身らが名前を連ねている。

ジーン・マリー・ジルの強烈な人生を描く本作は、主演を務めるスカーレットにとっても、ファンタジーやSF映画を手がけてきたルパート監督にとっても新たな一面を切り拓く作品となるだろう。ちなみに米Variety誌によれば、二人の就任が決定する以前、本作にはジェニファー・ローレンスやポール・グリーングラス監督、デヴィッド・O・ラッセル監督が打診を受けていたという。

スカーレット・ヨハンソン主演、ルパート・サンダース監督による映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』のブルーレイ&DVDは現在発売中。

Sources: Deadline, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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