ロシアの軍事研究センターにより発表された軍事用戦闘服が、もはやSF映画の世界に足を踏み入れつつある。

Russian military lab unveils prototype of Star Wars-like combat suit https://t.co/svaAapfnIP pic.twitter.com/bhO7PWJtw3

— RT (@RT_com) 2017年6月30日

2017年6月29日、ロシア連邦の首都モスクワにある「National University of Science and Technology MISIS」（モスクワ鉄鋼合金製造大学）でのロシア最大のハイテク試作センター開設式にて、将来の戦場でロシア兵が着用することを想定して開発された戦闘服のプロトタイプが発表された。そしてそのヴィジュアルはまさに『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場する銀河帝国の帝国情報部に所属するエリート・ストームトルーパー部隊、黒い装甲服とヘルメットを身に着けたデス・トルーパーを彷彿とさせるものになっている。

Rogue One introduced many new Star Wars designs. But which one was the best?https://t.co/X1qjEmmeRO pic.twitter.com/KUOXhGMhJW

— Star Wars (@starwars) 2017年4月9日

大きな特徴としては、兵士の顔を覆うモニタ・ディスプレイ付きのヘルメット、最先端の装甲を持つボディーアーマー、そして戦闘中のパフォーマンスとスタミナを向上させる次世代コンバット・ギアとしての動力付き外骨格を有していることだという。

この戦闘服のプロトタイプはロシアの主要武器製造業者である「Central Research Institute for Precision Machine Building （TsNIIMash）」で開発されたということで、同研究所の武器システム担当であるオレグ・チカレフ（Oleg Chikarev）氏は以下のように述べている。

We’re working on a concept for the combat suit of the future. On display is our vision of the suit we would like to develop within the next couple of years,

私たちは未来の戦闘服のコンセプトに取り組んでいます。展示にあるようなヴィジョンを持つ戦闘服を、今後数年以内に開発したいと考えています。

「宇宙空間の戦闘」想定

さらにロシアでは、世界の大国が次世代戦闘システムへの研究開発投資を強めていることを踏まえて、この戦闘服のような戦闘兵の外骨格化、あるいはロボット化に対する課題に積極的に取り組んでいるということである。また実際にロシア軍の技術主任は、「将来的には、陸上、空中、海上、そして宇宙空間で戦っている洗練された戦闘ロボットが見られるだろう」と述べているそうである。

これらのことは同時に、近い将来この地球上で、過去の世界大戦規模かそれ以上の戦争が勃発しても何らおかしくはないことを示唆するものだと考えることもできる。また前述のロシア軍の発言には、「宇宙空間での戦闘」をほのめかすような言葉も含まれている。個人的には世界情勢を含めた軍事事情には明るくないので詳しいことはわからないが、いったいどんな状況下において宇宙空間での戦闘が想定されているのだろうか。あるいはロシア並びに世界の大国が敵対的と見なしている地球外の勢力が存在するとでもいうことなのか。

さらに将来の兵力として圧倒的な現実味を帯びてきているロボットの存在、これはジェームズ・キャメロンが描き出した『ターミネーター』の世界に他ならない。もし軍事的に製造されたロボット兵に最先端の人工知能が搭載されることになれば、それこそまさに現実がSF映画を追い越した世界の到来である。

フィクションの戦争と現実の戦争

SF映画や戦争映画の中で目にするハイテク兵器を用いた戦闘表現には、正直言って大きな興奮を覚えることもあるが、それはあくまで非現実的な娯楽として目に映しているからだとも言える。戦争というものが一般的には身近に存在せず、リアルな戦争というものを想像することが難しくなっている昨今の日本でも、今現在世界のあちこちで繰り広げられている戦争に対して、またその戦争に巻き込まれて多くの人々が命を落としているという現実に対して、いきどおりや、やるせなさを感じている人は多いのではないだろうか。けれど現実問題として、近い将来を見渡しても、戦争はなくなる気配すらないどころか、さらなる拡大の準備を整えだしているのである。

もし戦争がなくなる日が来るとすれば、それはこの世界から人間がひとりもいなくなる時だろう。それこそ正に、『ターミネーター』で描かれている真のジャッジメント・デイなのかもしれない。今や、「この世界から戦争がなくなる」ということが、非現実的なSF映画のテーマになってもおかしくはない。

この戦闘服はSF映画ではなく、現実なのである。

source: https://www.rt.com/news/394745-russian-future-combat-suit-exoskeleton/
https://www.rt.com/news/349699-russia-future-combat-robots/
https://twitter.com/RT_com/status/880792543797137413