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『search/サーチ』驚愕の映像体験、「全編PC画面」はどのように作られたのか ― メイキング映像&証言から紐解く

search/サーチ

弱冠27歳の新鋭アニーシュ・チャガンティが監督を務め、サンダンス映画祭2018で観客賞を受賞した話題の映画『search/サーチ』が、いよいよ2018年10月26日(金)に日本公開される。

本作の特徴は、突如として娘が姿を消すというサスペンス・スリラーを、なんと“全編PC画面”で描ききったことにある。このたび劇場公開に先がけて、この革新的な映像表現が実現するまでの舞台裏に迫った特別映像が早くも公開された

ある日、16歳の女子高生マーゴットが忽然と姿を消した。行方不明事件として捜査が始まるが、家出なのか、誘拐なのかもわからないまま37時間が経過する。無事を信じる父親デビッド(ジョン・チョー)は、娘のパソコンにログインしてSNSにアクセスを試みる。インスタグラム、フェイスブック、ツイッター……そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿だった。

このたび公開された映像には、“PC画面だけで映画が展開していく”という特殊なストーリーテリングと映像表現を実現するためにアニーシュ監督が取り組んだ独特の演技指導法のほか、実際の演技を確かめられる本編シーン、出演者のインタビュー、撮影の舞台裏などが詰め込まれている。映画を観る前は予習として、観た後は復習として楽しんでほしい。

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『search/サーチ』には、主人公デビッド役のジョン・チョーが「古典的なスリラーを斬新な語り口で伝える映画」だと賞賛を送り、アニーシュ監督も「昔ながらのストーリーだが、型破りな方法での映像化に挑戦した」と自身をにじませる。“全編PC画面”に隠された秘密のひとつは、登場人物の感情が高ぶる場面で、その表情を過剰にPC画面にクローズアップさせたことだという。

この方法はアニーシュ監督による独特の演技指導で、PC画面の映像について、監督は「身を乗り出す動作を映し出すことで、強い感情を表現できる」と判断。出演者たちが「一番大変だったのはPC画面前での演技」「クローズアップの多い作品」だと語るように、曖昧な返答しかよこさない娘の友人に詰め寄るシーンや、担当刑事から“近親者は捜査から外れて欲しい”と依頼されたデビッドが溢れる怒りを表現するシーンなどで採用されている。

こうしたこだわりの数々は、二転三転する巧みなストーリーテリングとの化学反応を起こし、観る人すべてを本作の映像世界へ引き込むことに成功。共同脚本を手がけたセブ・オハニアンは「100年の歴史を持つ映画製作の技術を、パソコンの画面上に応用した」と話し、出演者たちも「映画界に新たな表現方法が誕生した」「映画作りの方向性が大きく変わる」と絶賛した。
映画そのものへのリスペクトを忘れず、斬新な映像表現で緻密なストーリーを物語る『search/サーチ』。“映画館でPC画面に没入する”という不思議な体験ごと、じっくりと楽しんでほしい。

映画『search/サーチ』は2018年10月26日(金)より全国ロードショー

『search/サーチ』公式サイト:http://www.search-movie.jp/

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。