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Netflixドラマ『センス8』打ち切りから一転、2時間の完結編が製作決定 ― ファンの声が製作側を動かす【コメント和訳あり】

米国Netflixは、ドラマ『センス8』のフィナーレ・スペシャルを製作・配信すると発表した。同作は2017年6月1日(現地時間)に、現在配信されているシーズン2をもって打ち切りとなることがアナウンスされていた。ファンの有志によって続編製作の嘆願が続けられており、ついにNetflix側がその熱意に動かされた形だ。

『センス8』打ち切り撤回、ファンによる嘆願活動

2017年6月29日(現地時間)、米NetflixはTwitterにて『センス8』フィナーレ・スペシャルを告知する映像を公開した。4 Non Blondesによる楽曲“What’s Up”が流れる中、映像の中盤に“It’s happening. Two-hour finale episode. Tell your cluster.(2時間のフィナーレ・エピソードがやってくる。あなたのクラスタに伝えて)”というフレーズが映し出されるのだ(「クラスタ」とは、『センス8』の劇中では意識をシンクロさせられる8人の男女を指す)。

『センス8』については、シーズン2での打ち切りが発表されて以降、世界中のファンがシリーズの続行を求める活動を行っていた。SNSでは“#RenewSense8”“#BringBackSense8”といったハッシュタグが使用されての抗議と嘆願が繰り返され、米国Netflixの公式Twitterには『センス8』の継続を求めるリプライが殺到し、「Change.org」では署名活動が開始されたのである。これを受けて、打ち切りの発表から8日後の6月9日(現地時間)には番組公式Facebookが「継続は不可能」という旨の声明を発表するに至った。

しかし、それでもファンは諦めなかった

Netflixへの嘆願活動はSNSなどを通して継続され(Netflix側も寄せられる声には丁寧に応じていた)、有名人を巻き込んでの嘆願活動を企画する者が現れ、NetflixがダメならAmazonに拾ってもらおうとAmazonへの嘆願活動を始める者も現れ、各メディアに『センス8』続行を求める声を取り上げてもらおうという動きも広がっていったのだ。もはや執念である

そしてこれらの動きが実る形で、6月29日(現地時間)、ついに『センス8』フィナーレ・スペシャルの製作が決定した。まさにファンの熱意がNetflixを動かしたというわけだ。その熱意はもちろんのこと、打ち切りのアナウンスから約1ヶ月で完結編の製作にこぎつけたNetflix側のスピード感、そしてファンの声に対応し続けた担当者たちの仕事ぶりには頭が下がる。

ラナ・ウォシャウスキー監督コメント【和訳付き】

フィナーレ・スペシャルの製作発表に伴い、『センス8』シーズン1・2を通して脚本・監督を務めたラナ・ウォシャウスキー監督はコメントを発表している。本記事ではその全文を日本語でご紹介したい(改行は原文のまま)。

センス8 ファミリーのみなさんへ

しばらく前から、ずっとこの手紙を書こうと思っていました。『センス8』を続けられないというニュースのあと、愛情と悲しみがとめどなくあふれてきて、時にはメールボックスすら開けない自分に気づいたのです。かなり重い鬱状態に陥ったことを告白します。
私は一生懸命に仕事をしたことがありませんでした。そうでなければ『センス8』にこれほど打ち込んだこと、そして打ち切られたことが、自分をこんなに空っぽにするなんてことはないからです。素晴らしいスタッフたちの失望を感じました(彼らが信じられないほど落ち着いていたことを、みなさんが理解してくださるのを祈ります)。自分自身を捧げてくれた俳優たちの悲しみを感じました。彼らはいつも困難を切り抜ける方法を見つけてくれたのです。しかし、とりわけ強く感じたのはファンのみなさんの悲嘆の声でした(この番組でつながったみなさんと、再び美しい瞬間やハグ、涙と笑いを共有できること、そして洞察に満ちながらも謙虚なやり取りができることを願います。皆さんはこれまで私がアーティストとして出会ったどんなファンとも違う存在です)。
世界中の友人たちから、“あなたにできることはないの?”と尋ねる電話が続きました。
しかし真実は、いいえ、私にできることはなかったのです。
ただし、私の作品で登場人物たちが自分は一人ではないと気づいたように、私も自分がただの“私”ではないことを十分に学びました。私は“私たち”でもあるのです。
情熱的な手紙や嘆願、集められた声が、この番組のためサン(ペ・ドゥナ)の拳のように奮い立ったことは誰の予想をも超えていきました。
この世界では、状況をより良くできないと思うことはたやすいことです。政府や団体、企業による決定は覆せない、いつも愛情は結論よりも軽んじられるものだと。
しかしここに、私の心に永遠に残る、番組のファンからの贈り物があります。時に覆せない決断はありますが、それだけが真実ではないのです。
現実とは思えず、また予想すらできなかったことですが、みなさんの愛情が『センス8』を甦らせました(みなさんの一人一人にキスしたいくらいです!)
私とNetflixにとっての大いなる喜びは(信じてください、彼らは私たちと同じように番組を愛していました。ただし数字がいつも邪魔をしていたんです)、2時間のスペシャルを来年お届けするとお知らせすることです。そのあとは……もし今回の出来事から私が何かを教わったとしたら、あとのことは決して誰にもわからないということですね。
みなさんに感謝します。さあ、ウォルフガングに何が起こるのかを知ることにしましょう。

ラナ

ドラマ『センス8』フィナーレ・スペシャルはNetflixにて2018年配信予定

 

Sources: http://variety.com/2017/tv/news/sense8-2-hour-finale-special-netflix-1202483044/
https://www.buzzfeed.com/krishrach/how-fans-brought-sense-8-back
Eyecatch Image: https://twitter.com/netflix/status/880497746225930240 動画サムネイル

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。