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【ネタバレ】『シャザム!』ポストクレジットシーン解説 ─ 監督やプロデューサーの証言も

シャザム!
©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

現在、スーパーヒーロー映画のお楽しみのひとつといえば、エンドクレジットの後に控えているポストクレジットシーンである。DCコミックス原作映画『シャザム!』のデビッド・F・サンドバーグ監督は、「今ではポストクレジットシーンは作らないといけないものですよね」と述べて、早くからその存在を隠しすらしなかった。

ポストクレジットシーンがあるのなら、その意味や舞台裏まできちんと読み解いてみたくなるもの。本記事ではデビッド監督やプロデューサーのピーター・サフラン氏らによるコメントも含めて、じっくりとポストクレジットシーンを噛みしめることにしよう。

この記事には、映画『シャザム!』のネタバレが含まれています。

シャザム!
©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ドクター・シヴァナとイモムシ

『シャザム!』第一のポストクレジットシーンは、本編の終了後、バットマンやワンダーウーマン、アクアマンといったDCヒーローとシャザムが“紙の上で”共演するクレジットの後にやってくる。厳密にいえば「ポストクレジットシーン」ではなく「ミッドクレジットシーン」と呼ばれるものだ。

本編のクライマックスでシャザムによって倒されたドクター・シヴァナは、狭い独房の中、ロック・オブ・エタニティへと戻ろうと必死にシンボルを書きつけている。正しいシンボルを思い出せず、苛立ち、絶叫して壁を叩いていると、シヴァナの耳に奇妙な笑い声が聞こえてきた。「原始的、単純。洞窟に絵を描くサルだな。魔法を得る方法がひとつしかないと思ってるのか? 違う、違う、考えている以上に方法はあるんだよ」。シヴァナの視線の先には、一匹の小さなイモムシがいた。「一緒に組んだら面白そうだな、7つの世界が我々の物になる」

シャザム!
©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

シヴァナに語りかけるイモムシの正体は、ミスター・マインドという名前のヴィラン。コミックでは1940年代から主人公の宿敵として描かれてきたキャラクターだ。コミックでもドクター・シヴァナを含むヴィランのチーム「モンスター・ソサエティ・オブ・イービル」を結成し、世界を征服すべく暗躍する。身体はイモムシだが非常に危険なキャラクターで、天才的な頭脳とマインド・コントロールの能力を持っているのだ。

ミスター・マインドが劇中で口にしている「7つの世界」とは、コミックに登場する「セブン・マジックランズ(The Seven Magiclands)」を指していると思われる。ロック・オブ・エタニティの駅を経由して向かうことができる、魔法が圧倒的な力をもつ、まさに「7つの世界」のことだ。ミスター・マインドはシヴァナと手を組んで、いくつもの世界を手中に収めようとしているようである。

続編の展開を示唆している…?

シヴァナ役のマーク・ストロングは、THE RIVERの取材に対して「ポストクレジットシーンは今後の展開を示唆しているんだと思います。すべては脚本家と監督、DCとワーナー・ブラザース次第。楽しみですね」と話してくれた。やはり、これは『シャザム!』の続編を見据えたものなのか…?

ところがデビッド監督は、このシーンについて「続編はこうなるとか、そういうものじゃないんです」とバッサリ否定。「誰かのために扉を開いておこう、ミスター・マインドを登場させようって。楽しい基礎工事ですよね。たくさんの人が映画を観て、“あれは何なんだ”って話し合ってくれたら面白い。知ってる人は“ヤバい、ミスター・マインドだ!”って思うでしょう」。まさにポストクレジットシーンを作るために、「最高のキャラクターだから」登場させたということだ。

シャザム!
デビッド・F・サンドバーグ監督(中央)©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

プロデューサーのピーター・サフラン氏も、ミスター・マインドを登場させるアイデアについて「面白いだろうなと思っていたんです」と声を揃える。「『シャザム!』の歴史にちゃんと目配せすることにもなりますからね。ミスター・マインドはシャザムと同じくらい長いこと存在するキャラクターなので」。やはりシヴァナとミスター・マインドの共演は、現時点で何かを予告するものではないのだ。

なおミスター・マインドは、映画の冒頭、少年時代のシヴァナがロック・オブ・エタニティに送られる場面でこっそりと瓶の中に入って登場している。しかし、大人になったシヴァナが再訪した時には瓶が割れており、すでにその姿はなかった。ちなみにこぼれ話だが、ミスター・マインドの声を担当したのはデビッド監督自身。ほかにも劇中では、ビリーが実母と再会するシーンで部屋の中から聞こえてくる男の声も演じているという。

すべての魚を味方にできない少年

キャスト・スタッフの名前が流れていく、これぞ正真正銘のエンドクレジットが終わったあとには、ふたつめのポストクレジットシーンが待っている。ビリー・バットソン/シャザムが金魚鉢を持って魚に話しかけるのを、相棒フレディがビデオカメラで撮影しているのだ。「自分を責めるなよ、誰か見つかるって。海には魚がたくさんいるんだから」

魚とのコミュニケーション能力を実験していたらしい二人だが、ビリーが「魚となんて話せない」と漏らし、「何ができたらクールかな」と口にすれば、フレディはアクアマンのロゴが描かれたTシャツを引っ張って「わかんないけど、海の軍隊を指揮するとか」。ビリーは真顔で「それはクールじゃない…」。

シャザム!
©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

このシーンは、DC映画ユニバースにおいて『シャザム!』の直前作となった『アクアマン』(2018)にほぼ直接言及するものだ。エンドクレジットでの“共演”に続いて、同じ世界にアーサー・カリー/アクアマンが存在することもきちんと示唆されているわけである。

デビッド監督によると、このシーンは映画の前半、ビリーとフレディがスーパーパワーで実験したり遊んだりする場面のために撮影されたものだという。「彼らは思いついたものを全部試してるわけです。なので僕たちも、映画に使えるよりもたくさんの映像を撮りました」。そして映画の編集作業中、残念ながら本編で使えなかった映像をポストクレジットシーンとして登場させることを思いついたのだそうだ。「アクアマンが面白いと思ったんです。当時、映画が公開されて大ヒットしていたので、ちょっとからかってやろうって」

映画『シャザム!』は2019年4月19日(金)より全国公開中

『シャザム!』公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/shazam-movie/

『シャザム!』続編どうなる…?

Sources: IW, DS, Deadline, TIME, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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