【ネタバレ】「SHOGUN 将軍」最終話、あの名場面を真田広之と浅野忠信が解説 ─ 「二人が行き着いた場所ですから」

この記事には、「SHOGUN 将軍」最終話『夢の中の夢』の極めて重大なネタバレが含まれておりまする。まだ観ておらぬ者は、絶対に読んではなりませぬぞ!

「SHOGUN 将軍」最終話、前代未聞の藪重 切腹シーンのこだわり
大坂にて虎永を裏切った藪重は、海を見晴らす崖の上で主君と会う。床几に腰掛ける虎永の隣で、藪重はドサリと地べたに尻をつく。これまでのようにため息を漏らしながら、藪重は虎永の謀りごとの全容が何だったのかを尋ねる。
「SHOGUN 将軍」全10話においてじっくりと展開された壮大な計画が、藪重を隣にして初めて明かされるシーンだ。それは、「関ヶ原の戦い」の意外な攻略方法、そしてその先に見据える、戦のない太平の世への願いだった。
「本当のことを語ってくだされ」と頼む藪重に、虎永は「死人に先々の話をして何とする?」とだけ言い、介錯の構えを取る。藪重はこれまでである。短刀を抜くと、あっという間に腹を刺し、虎永を見上げる。虎永は口元にわずかな笑みを浮かべると、藪重の首を斬り落とす。
虎永と藪重、二人の歩んだ旅の終着点。切腹のシーンでありながら、どこか清々しさもあり、重苦しさもない。唯一無二の不思議な境地となったこのシーンについて、演じた真田広之と浅野忠信にそれぞれ聞いた。
プロデューサーも務める真田は、この切腹シーンについて「儀式的なものにはしないようにした」と、狙いを語る。「彼(浅野忠信)もそうしたくなかったし、僕も、“いいんじゃない?地べたに座っちゃえば?”と(笑)」。
第8話の広松による壮絶なものとは逆に、崖上での対話の後にささやかに行われた切腹。「常識破りですが、彼のキャラクターがそこで際立つ」と真田は続ける。「それを許している虎永がいる。二人の長い歴史が垣間見れる。しかも、ニコっとしちゃうような。前代未聞のシーンにしたかったんです。どこかアナーキーなものを取り入れたい。全てはバランスなのですが、薮重はその最骨頂にいるキャラクターです。彼にしか出来ないシーンになったと思います」。
「役抜きに、真田さんと僕自身の、二人の俳優が行き着いた場所でもありますから」。そう語るのは藪重を演じた浅野忠信だ。「僕は真田さんのことを僕なりに理解していると思いますし、真田さんも僕のことをすごく理解してくださっていると信じています。その二人が虎永と藪重という形であそこに行ったら、やっぱりああいう形になるのかなと思うんですよね……」。このシーンは、俳優・真田広之と浅野忠信の投影でもあるというのだ。
「お前のことはワシが一番わかっているよと、虎永様も思っているはずです。藪重はやっぱりあの通り……(笑)、何も変わらない男ですから。本当に彼らしいシーンだと思いますし、藪重らしい最期だと思いますね。」

ドラマ「SHOGUN 将軍」はディズニープラスの「スター」で全話独占配信中。