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【ネタバレ】「SHOGUN 将軍」最終話、なぜ賛否両論の結末に?プロデューサーが明かす実際の理由

SHOGUN 将軍 最終話
© 2024 Disney and its related entities

この記事には、「SHOGUN 将軍」最終話『夢の中の夢』のネタバレが含まれています。

SHOGUN 将軍
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「SHOGUN 将軍」最終話『夢の中の夢』、実際には関ヶ原の戦いを描かなかった理由

ドラマ「SHOGUN 将軍」最終話は、やもすれば意見が分かれるところがあるかもしれない。ハリウッドが初めて本気で日本の戦国時代を描いた、壮大なスケールの時代劇。物語は史実にインスパイアされたもので、主題となるのは徳川家康の東軍と石田三成の西軍による「関ヶ原の戦い」……、に、至るまでの駆け引きの部分であった。

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視聴者の多くは最初の方のエピソードを観て「このクオリティでの合戦シーンを目の当たりにするのが楽しみだ」と思ったかもしれないが、最終話『夢の中の夢』で合戦は描かれない。虎永(真田広之)は薮重(浅野忠信)に、決死作戦の“紅天”は実は既に終わっており、大坂に送り込んだ鞠子(アンナ・サワイ)が、その役目を全うしたと明かす。戦況を左右するのは世継ぎの軍勢の行方で、これが石堂側につけば勝ち目はない。しかし鞠子の行いによって、落葉の方が石堂との盟約に失望し、出兵を取りやめる。これによって石堂の軍勢は大きく衰え、劣勢だった虎永側に勝機が生まれる……というものだ。

SHOGUN 将軍 最終話
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虎永が見る未来のビジョンでは、関ヶ原の戦場に多数の軍勢が結集しており、そこでは鎧甲冑姿の虎永と石堂の姿も見られたが、実際に合戦は描かれなかった。これには製作予算の都合もないわけではないようだが、それよりも、ジェームズ・クラベルによる原作小説に準拠したという理由が一番だったようだ。

「私が原作小説についてすごく感激しているのは、最後のページをめくっても“でも、それってどういう……?”と思わせるところ。そして、この物語が何を目指しているのか、それを本当に理解できたかどうかは問題ではないということに気づくんです」と、プロデューサーのジャスティン・マークスは米The Hollywood Reporterに語っている。

実は脚本家たちとの間で、合戦を描くというアイデアが語られなかったわけではないそうだ。「それは予算の都合というわけではなく……、予算の都合もあったのですが、(原作者の)クラベルがそういった物語をやっていなかったためです」と、マークスは説明する。同じくプロデューサーのレイチェル・コンドウは、「虎永のセリフにもありますよね。戦をしたことがない者ほど、戦をしたがる」と、うまく補足している。

また、マークスとコンドウは、米Mashableでも同じトピックについて語っている。こちらでも、関ヶ原の戦いを映像化するという話は「間違いなくありました」とマークスは答えながら、「関ヶ原の戦いを映像化することが、どれほど大変なことが、身にしみてわかります。おそらく今もまだ撮影中だったでしょうね!」と、製作上の限界があったことを認めている。

原作者ジェームズ・クラベルの娘であり、本作ではエグゼクティブ・プロデューサーとして参加しているミカエラの記憶によれば、「父もストーリーをそこ(合戦)まで持って行きたがっていた」が、「彼はもともとそこにいたキャラクターたちに没頭し、愛していた」という。合戦のスペクタクルよりも、よりキャラクター主体の結末を望んだということだろう。「鞠子と、とりわけブラックソーンです。そういうわけで、父は“ここでおしまいだ。私はもう語り終えた”と、物語を終えた」というミカエラの回顧を、マークスは代弁している。さらにコンドウが伝えるところによれば、クラベルは「この戦いを書き上げるのに、また2年を費やすわけにはいかない」として、そこで完結としたのだそうだ。

ドラマ「SHOGUN 将軍」を観進めていた時、「完結まであと少しだが、残りの時間で本当に合戦をやるんだろうか?」という気になった方も多いはず。それは、原作小説を読んでいたマークスも同じで、「本の終わりに向かって読み進めながら、“あと何ページだろう?合戦は描かれないのだろうか?”」と考えていたそう。しかし原作小説では、最後のページの最後の段落に、納得できるような描写があり、「それこそが、クラベルが我々に感じて欲しかったこと」と、マークスは分析する。「彼は私たちに、何かをわかった気にさせておいて、最終的には、何が起きているのかを実は何も見ていなかった、と気づかせたいのです」。

あの後、日の本はどうなったのだろう?それは虎永の見た未来像の通りだが、実際の出来事については、我々が歴史の授業で学んだ通りだ。軍力で勝り、戦況を有利に進めていた石田三成の西軍だが、亡き太閤・豊臣秀吉の甥である小早川秀秋が内府・徳川家康側に寝返り、東軍に加勢。これによって西軍はなし崩れになり、家康は勝利を収める。その後家康は、戦のない大平の世、“江戸幕府”を開く。この平和はその後265年も続き、今日の日本に至るまで、最も長く続いた政権となるのだった。

Source:The Hollywood Reporter,Mashable

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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