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「SHOGUN 将軍」按針役&マーティン司祭役にインタビュー ─ 「このドラマ成功の理由は、全員が狂気に取り憑かれて製作したから」

「SHOGUN 将軍」ジョン・ブラックソーン/按針役 コズモ・ジャーヴィス、マーティン・アルビト司祭役 トミー・バストウ 単独インタビュー
©︎ THE RIVER

ハリウッドが“戦国時代の日本”を初めて本気で描く。ドラマ「SHOGUN 将軍」がデビュー以来、日本でも海外でも大絶賛で迎えられている。Rotten Tomatoesでは批評家スコア100%でスタートし、その後も99%で推移。これは驚異的なことだ。

真田広之や浅野忠信、西岡徳馬ら日本のベテラン、アンナ・サワイや金井浩人、二階堂ふみといった若手に加え、劇中でも数少ない外国人キャラクターを演じたのがコズモ・ジャーヴィスと、トミー・バストウだ。

コズモは本シリーズ主人公の一人であるジョン・ブラックソーンこと按針を熱演。虎永と運命を共にする英国人航海士として、戦国の日本を大いにかき乱す最重要キャラクターだ。

トミーが演じたのはマーティン・アルビト司祭。ブラックソーンの来日よりずっと前から日本で暮らしており、流暢な日本語で虎永に支えるカトリックの司祭。ブラックソーンとは対立する立場にあるが、英語と日本語の両方を話す数少ないひとりとして、さまざまな場面で架け橋となる人物である。

THE RIVERでは、来日したコズモとトミーに単独インタビュー。もともと日本語に堪能なトミーと、本作で苦労して日本語を学んだというコズモに、撮影の裏話や思いを聞いた。

「SHOGUN 将軍」ジョン・ブラックソーン/按針役 コズモ・ジャーヴィス、マーティン・アルビト司祭役 トミー・バストウ 単独インタビュー

「SHOGUN 将軍」ジョン・ブラックソーン/按針役 コズモ・ジャーヴィス、マーティン・アルビト司祭役 トミー・バストウ 単独インタビュー
©︎ THE RIVER

──按針殿……!光栄にございまする。全話を視聴させていただきましたが、本当に素晴らしい作品でした!

コズモ・ジャーヴィス(ジョン・ブラックソーン/按針役):嬉しいです!ありがとうございます。

──そしてトミーは劇中でも流暢な日本語のセリフをこなされていましたが、実際に日本語を話されると聞きました。

トミー・バストウ(マーティン・アルビト司祭役):(日本語で)一応、話せます。

──おぉ!どれくらい日本を勉強されているのですか?

トミー:10年前くらいですね。趣味で始めたんです。周りの友達はみんな大学に行っていた中、僕も役者の仕事をしていなかった。そこで語学の勉強でもしようかなと思って。それからずっとです。

そうしていたら「SHOGUN 将軍」オーディションの話が来て、「他に日本語を喋れる役者はどれくらいいるんだろう?」と思いました。僕は原作小説も大好きだし、オリジナルのTV版も大好きでした。だから、これは絶対に決めたい!と思いました。

──もともと、日本語を学ぼうと思ったきっかけはなんだったんですか?

トミー:小さい頃に、父が世界中のいろいろな映画を見せてくれたんです。その中に、日本の“(日本語で)黄金時代”の作品があって、黒澤映画に惹かれたんです。日本の古い映画や文化にハマったのは、それがきっかけです。それから、武士道や、そういった威厳についても魅了されるようになりました。

「SHOGUN 将軍」ジョン・ブラックソーン/按針役 コズモ・ジャーヴィス、マーティン・アルビト司祭役 トミー・バストウ 単独インタビュー
©︎ THE RIVER

──コズモ、日本語でのセリフもいくつかありましたが、日本語学習はどのように?トミーは良い先生でしたか?(笑)

コズモ:(トミーは)かなりペラペラですからね(笑)。すごく難しかったです。僕が学んだのは、せいぜい言葉のサウンドだけ。意味まではきちんと理解することができませんでした。

でも、だんだんといろんなことがわかってきました。僕が驚いたのは、日本語は語順が逆だということです。主語があって、何を伝えるかが、英語とは逆の順序なんですよね。これに慣れるのに時間がかかりました。ユカリという女性の方に、発声練習が必要な文章を教えてもらっていました。ブラックソーンと同じ立場で、日本語を学んでいきましたね。

──本作の中で、好きな日本語のセリフは?

コズモ:「おらは、犬じゃ」(笑)

──えぇ、まさかの(笑)。難しい日本語のセリフが飛び交う中で、自分がセリフを言う瞬間をどのように見極めていたのですか?

コズモ:そうですね、まずは脚本でテキストを学んで、それからリハーサルがある朝に、日本人俳優のセリフのリズムを聞いて馴染ませて、勉強していました。「このタイミングで合ってるよな」と思いながら(笑)。でも、これもブラックソーンと同じ境遇です。時々タイミングがズレてしまうというのも、それはそれで有用なのです。とにかく、さまざまな挑戦をしました。

“言語の壁”というのを味方につける感じです。ジョン・ブラックソーンの要素や状況、環境とマッチしますからね。

「SHOGUN 将軍」ジョン・ブラックソーン/按針役 コズモ・ジャーヴィス、マーティン・アルビト司祭役 トミー・バストウ 単独インタビュー
©︎ THE RIVER

──日本のレジェンド、真田広之が参加されているのは非常に大きなことです。プロデューサーとしての真田さんとの仕事はいかがでしたか?

コズモ:彼は現場で、素晴らしい規範でした。ドラマのあらゆる側面に対し、純粋な気遣いや愛情を注いでいらっしゃいました。細かなディティールから大きなところまで、彼は真心を込めていて、感情的にも精神的にもこのドラマに心血を注いでいらっしゃいました。

そして、特に若い役者に対しては、自ら手本を示されていました。だから、みんなが彼のために尽くしたいという気になっていました。彼の側にいられてよかったです。

トミー:真田広之と共演できると知った時は、信じられないくらい興奮しました。そして、緊張もしました。僕の最初のシーンが真田さんとの場面だったんです。“(日本語で)戦国時代”の言葉の日本語でセリフをやり合うシーンだったんです。そりゃもう、緊張しますよね。

そして、僕が話し始めると、彼は僕を落ち着かせてくれたんです。友人として、先生として、そしてプロデューサーやディレクターとして。彼は、“自分はここにいて然るべきなんだ”と感じさせてくださいました。そのおかげで、うまくいきました。彼の励ましがなかったら、どうなっていたかわからないくらいです。

それに彼は現場で冗談も言われるんです。すごくフレンドリーな雰囲気を作ってくださるので、誰もが歓迎されている心地になりました。

SHOGUN 将軍
(c)2024 Disney and its related entities

──トミーは日本映画がお好きだということで、真田さんの出演作をご覧になったことはありましたか?

トミー:はい。『The Twilight Samurai(原題:たそがれ清兵衛)』を観て彼の演技のファンになりましたから。

──日本を再現した現場に立ち入った時はどんな気持ちでしたか?

トミー:リラックスできました。世界最高峰の方々が作ってくださっているとわかっていたからです。だから、僕がやるべきことは、現場に行き、自分の仕事をこなし、文化に敬意を払うことでした。僕はただ演じただけです。セットや衣装は、すべて最高の形で考証されて作られていましたから、とてもリラックスできました。

──「SHOGUN 将軍」は、ハリウッド作品として初めて、日本文化の表現にこだわりぬいた作品です。こんなレベルまでこだわるのかと、驚いたことは何でしたか?

コズモ:日本の歴史的な正確さに対するあらゆる側面に対して、それが物質的なものであろうと、あるいは戦略に関するものだろうと、そういう全面的なプライドが常に現場に漂っていたことです。それから、すべての部署の人たちが、可能な限り忠実に描くということに全心全力で挑まれていました。エンターテインメントのための近道なし、という感じですね。

トミー:役者たちもそうです。僕たちは日本文化に大きな敬意を払いました。時には、歴史的観点で正確ではないことをするように求められることもありました。そんな時には専門家が飛んできて、「いや、これはダメです。やってはいけません」と進言してくれるんです。最近では、批判されずに何かをするのは不可能なことになっています。だからこそ、文化や視聴者に深い敬意をきちんと払いたかったのです。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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