真田広之ハリウッド初プロデュース「SHOGUN」、撮影ない日も毎日エキストラまで指導 ─ 「恥のかかない作品を絶対に作ろう、武士道を見せよう」【全文書き起こし】

──按針役のコズモ・ジャーヴィスさん。馴染みのない、そして時代の違う世界を描くのには苦労があったのでは。座長である真田さんとの、撮影現場での様子は?
「難しかったことが、むしろ役に立ちました。なぜなら、ブラックソーンの物語と合うものだったからです。コミュニケーション上の障壁が、むしろプロセスにおいて有用だったんです。
真田さんとは、最初は目線だけでコミュニケーションをしていました。それも、シーンに合っていたので良かったと思います。そして、製作が進むにつれて、よりお互いのことを知るようになっていきました。彼は、質問がある時はどんな時でも答えてくれて、素晴らしい仕事の姿勢を、実例をもって示してくださいました。」
──戸田鞠子役のアンナ・サワイさん。演じたシーンの中で、ネタバレにならない範囲で思い出に残るところはありますか?
「思い出に残る……。全て重要なシーンなので、一つ選んでくださいと言われた時は難しいんですけれど……。えー……(笑)ネタバレになるシーンしかない!どうしよう……!ごめんなさい、ネタバレしない程度で話して良いですか?鞠子が、ある決断をする、分岐点になるシーンがあるんですけど。そのシーンの時点で、私は半分鞠子だった(成り切っていた)ので、本気でやりすぎて、途中で薙刀が半分に折れてしまったり、お家に帰ったら歯がちょっと欠けてたり……みたいな、そんなシーンがありました。」

──落葉の方役の二階堂ふみさん。虎永の権力に終止符を打つためになんでもやるという役です。初のハリウッド作品デビューはいかがでしたか?
「本当にびっくりするような経験の毎日で、作品を作るプロセスも全然違いますし、贅沢な時間を過ごさせていただいて。一番最初にセットを見学させていただいた時は、こんなに大きな照明が世の中に存在するのかって思ったくらい、大きな照明とセットと……。撮影するシーンが長かったりとか、着物だったりヘアセットだったり、すごく時間のかかる撮影だったんですけれども。
その間で、常に美味しい美味しいドーナツとコーヒーがいただけるカフェカーが、私にとっての憩いの場になっていまして。いつの間にか、私のことを呼び込みしてくださるスタッフの方が、私の顔を見るたびに“ドーナツ?”って聞いてくるようになって(笑)。そういう朗らかな瞬間もあって、素敵な経験をさせていただきました。」

──虎永最大のライバル石堂役、平岳大さん。演じる相手としての真田さんもそうですが、プロデューサーとして奔走する真田さんはどうでしたか?
「もちろんブレインとしての真田さんとしても素晴らしいんですけれども、ご自身が出られていないシーン、出演がない日でも、毎日、本当に最初から最後まで現場にいらっしゃって、エキストラの衣装を直したりとか、ヘアを直したりとか、本当に頭の下がる思いでした。
ある日、バンクーバーで、すごく寒い夜の撮影があったんですが、僕が馬の上に乗って、家臣と会話するシーンを撮っていた時。ものすごく寒くて、監督は暖かいベースから出てこないんですね。で、僕に対するダメ出しを、なんと真田さんが、監督と俺の間を……、“次はこうしてください”っていうのを真田さんがやってくださって、馬上の僕はどうして良いのか、もう芝居どころじゃないというくらいお世話になり……、(笑)ありがとうございました。」
真田「やりたがりなもんですから(笑)」
──戸田広松役の西岡徳馬さん。旧知の真田さんとハリウッド作品での共演となりました。出演を決めた理由は?
「僕は、真田ヒロ君とは随分昔から一緒に作品をやらしていただいて、彼の人柄はよく知っている。オーディションを受けて、この役誰がやるんだろうって思って。虎永の役をね。誰も教えてくれなかったのね、最初のうちは。それで、(制作が)迫ってきた頃に、真田がやるって聞いて……、これはもう、絶対にやりたい!と思ったら、運よく、本当に運よく、呼んでいただきまして。
まず、2021年の8月23日に、僕は羽田をたってバンクーバーに行ったんですけれど。それから一週間後に、会いたいなと思ってたら、お膳立てしてくれて。公園で、良い〜天気の日……。8月の30日。もう絶対忘れないけど、あの日。あの日、会たんですよね。ヒロとね。それで、感動的に抱き合って、頑張ってやろうねって。
それで……、真田と西岡がいて、日本の時代劇ってこんなのかって言われないような、恥かかないような作品を絶対に作ろう。僕は、日本の武士道を、武士道スピリットを、この作品で見せたいから、オーディションを受けて来たんだよって言ったら、ぜひそれをやろう!って、固く誓って……、最後の最後まで、出来ました!僕はもう、本当、感動!本当に、もう、胸がいっぱいになるくらい。
一番大好きなシーンは、言えないですけどね!ネタバレになるといけないから。もう、ここまで言いたいんだけど、言わずにガマンして……。(素晴らしいものが)ありますから、観てください!本当に!もうすごい、感動しました!彼はすごい。今、平くんが言ったみたいにね、全シーンですよ?自分が出ていないシーン、全シーン、行って。コロナの最中ですから、マスクを二重にして、ゴーグルをして、万全の体制でやってくれてね。みーんな、感動していました。彼の俳優スピリットだよね、あれはね。ありがとうございました!素晴らしい!」
──真田さん。渾身の作品を、いよいよ皆さんに見ていただく。改めていかがですか。
「あの、そうですね……。えぇ……。もう、なんか……、感無量で。何から言っていいかわからないくらいなんですけれども。先ほど、役について話すのをすっ飛ばしましたね、私。興奮してて(笑)。
虎永を演じました真田広之です(笑)。エッヘヘ(笑)。
この役をお引き受けしようとなった時に、なぜ今、この役を演ずるのか、ということを考えた時。やはり、モデルである家康公の功績。戦乱の世を終わらせ、長きにわたる平和な時代を築いた。その役を演ずることというのは、まさに今、この時代だからこそ求められているヒーロー像なのではないか、という思いで飛び込みました。
そして、プロデューサーとして、できる限り原作を尊敬して、忠実に描きながら。ジャスティンとレイチェルと相談して作ったシナリオとスクリプトに沿って作っていこうと。歴史はもちろん、大事なことなんですけど、このオリジナリティをどうやってクリエイトするのかが、まず一番大事で。
あとは、勇気を持って日本から海外の作品に飛び込んでいただいたキャスト、そして時代劇のスペシャリストのクルーたちの才能をいかに最大限引き出すのかということが、自分の仕事だと思って、現場で一緒に戦ってきました。
このような東西の壁を乗り越えて、一丸となって作ったことこそが、一つの世界へのメッセージだと思っています。このストーリーと、メイキング・オブ・SHOGUN。この両面で世界にアピールをして、見ていただいた方に何か感じ取っていただけたら。そういう思いでやって来たんですが、常に日々、楽しくてですね。もう、本当に、現場を離れるのが寂しいくらい楽しくて。本当に素敵な経験をさせていただきました。」

──真田さん。最後に、これから作品をご覧になる方に一言いただけますか?
「見どころは、もう全シーン。毎カット毎カット、全てと言いたいですね。全てのエピソードが宝物です。参加した者たちの思いを汲み取りながら、観ていただき、今日は一話と二話(の上映)だけですけど、これはまさに始まりにすぎません。二話、三話と回を増すごとに、濃く、激しく、ドラマチックに盛り上がっていきますので、是非最後まで堪能していただければと思います。ありがとうございました。」























ドラマ「SHOGUN 将軍」は2024年2月27日(火)、ディズニープラスで独占配信。初回は1〜2話。
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