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「日本は厳格だ」ハリウッドから見た日本での映画撮影「若い世代が国際的に」

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ハリウッドから見た、日本の現在地は。これまで日本は、ハリウッド映画のロケ撮影申請に対応できず、結果として多くの国際的な好機を逃してきた。近年では改善に向けた準備も進み、実証作品も登場した。ヒット中の映画『ザ・クリエイター/創造者』では、渋谷と新宿でのロケ撮影も実施されている。

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この作品でプロデューサーを務めたニコラス・サイモンは米The Hollywood Reporterで、日本が変わりつつあるという実感を語っている。サイモンは長年、ハリウッド映画におけるベトナムやタイ、インドネシアでのロケ撮影の制作管理を務めてきたベテランだ。

『ザ・クリエイター』の製作では来日し、撮影監督も務めた。これまで数々の国や地域で撮影を経験したが、日本は「本来、製作に適した場所ではありません」と述べる。「例えばタイでは、全てが観光産業やサービス産業、製作産業と密接に結びついています」。

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続けて「日本はとても厳格で、自分たちのやり方に固執しています」と指摘。「でも、今は目覚めつつあると思いますし、若い世代がより国際的になっています。今起きているのは、よりハイブリッドな状況です。ハリウッド映画が日本で撮影するためには、日本式に適応しなくてはいけないわけですが、日本の方も、スタジオのやり方に適応しなくてはいけません」。

日本の対応は、「事務仕事や経理、保険、ロケ地契約など、基本的な事項」が追いついていないという。スタジオや、国際的な企業の慣例に日本側も合わせていく必要性を述べた。

また、ロケ撮影の下準備にかかるプロセスが煩雑であるとも指摘している。「日本のプロダクションの人たちと話したり、一緒に仕事をしたりすると、まず物件のオーナーや管理者と信頼関係を築かないといけないので、こういうことをやるんだったらもっと人数が必要です、ということになる」との経験談だ。「一方、これがニューヨークだと、現地に行きました、ディールしました、お金を払いました、話がつきました、それでもう帰れます。でも日本だと、プロセスがさらにたくさんあるし、もっと属人的なところがある」。

続く言葉は耳が痛い。日本では、「ただ現状維持でいるために、何もしない方がいい、規範から外れない方がいい、ということが多い」ということだ。

サイモンの期待は「若い世代」が変化を起こすこと。「彼らはどんどん国際的なメンタリティを持つようになっていて、自分たちの業界はチャンスを逃していると考えるようになっています」と見ており、「時間がかかるし、忍耐が必要」であるとしながら、日本は「内側からの成長が必要なんだとも思います」という。なぜなら、「日本という国は、ヒト・モノを外から入れて、よし変わろう、という国ではない」というからだ。

サイモンはタイ・バンコクに制作会社Indochina Productionを有するほか、Studio Musoという国内の会社にも参画した。「東洋と西洋のギャップを埋める、日本を拠点とするマルチメディアスタジオ」と、公式Webサイトには記されている。「近いうち、ハリウッドのスタジオとの共同制作で、日本の漫画の映像化企画を発表できる予定です」。

Source:The Hollywood Reporter

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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