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ファウンド・フッテージから生まれた恐怖の誘惑、『SiREN』の魅惑漂う新着予告編が公開!

『サイレン』(SiREN)と聞くと、何を思い浮かべるだろうか。

最も一般的なところだと、日本語で言うところの、いわゆる警笛、つまりは警告や警報として大きな音を発する装置の名称である。現在の日本でも地域によっては朝昼晩の三回、町中にサイレンが鳴り響くという場所もあると思う。実際にかつてぼくが暮らしていた山間部の小さな集落では、毎日三回、空襲警報のようなけたたましいサイレンが鳴り響いたので、慣れるまではちょっと恐ろしかった。ちなみにこの「サイレン」という名称は、ギリシャ神話において、海を航行中の船の乗組員を美しい声で誘惑し、岩場に惹き寄せて難破させる、あの半人半鳥の「セイレーン」が語源だとされている。

さてもうひとつ『サイレン』と聞いてピンとくるのが、かつてPlayStation 2用のゲームとして話題を呼んだあの名作。昭和78年(架空の継続する昭和年号として)の日本に残る土俗信仰をテーマにしたホラーゲームである。このゲームに関しては詳細を述べだすと長くなるので割愛するが、ぼく自身も、もちろんその恐怖を堪能したひとりである。このゲームの発売前後にプロモーションとして流されたTVCMに対して、「恐ろしすぎて子供が怖がる!」という苦情が殺到し、予定より早く放送中止となったことはご存じの方も多いかと思う。

さて、今回ご紹介するのは2016年12月に米国での公開が予定されている、同じく『SiREN』というタイトルのホラー映画である。まずはその新着の予告編があるので、ホラー映画愛好家の方、あるいはホラー映画にある程度の免疫をお持ちの方は、ぜひご覧いただきたい。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=tbimw-wAuUc&w=560&h=315]

この映画は、2012年(日本では2013年)に米国で公開された『V/H/S シンドローム』(V/H/S)というアンソロジー作品の中の一篇、デヴィッド・ブルックナー(David Bruckner)の『アマチュア・ナイト』(Amateur Night)をベースに製作されている。

V/H/S
http://www.imdb.com/title/tt2105044/ – c 2012 – Magnet Releasing

監督は『ダンス・オブ・ザ・デッド』(Dance of the Dead)のグレッグ・ビショップ(Gregg Bishop)、脚本には、ベン・コリンズ(Ben Collins)、ルーク・ピオトロフスキー(Luke Piotrowski)、そしてもちろんオリジナルの『アマチュア・ナイト』ベースとしてデヴィッド・ブルックナーも担っている。

前述のV/H/S シンドローム』については、いわゆるファウンド・フッテージ(found footage)と呼ばれるジャンルの作品である。ファウンド・フッテージとは何かと言えば、例えば動画やフィルムの撮影者が行方不明になったなどという理由の為に長らく埋もれていた未公開映像が、第三者によって発見され公開に至った、あるいはその映像を編集して公開したという設定の作品である。

簡潔に言えば、発見された(found)映像(footage)ということであり、いわゆるモキュメンタリー(Mockumentary)の一種となる。

ファウンド・フッテージの走りと言われるのが、あの1980年のイタリア映画、ルッジェロ・デオダートによる『食人族』(Cannibal Holocaust)、衝撃的な内容のため焼却を命じられたドキュメンタリー映画の撮影フィルムが流出したという設定で公開されている。そして、ファウンド・フッテージの手法を世に広めたのが、かの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』であることは、皆さんのよく知るところだろうと思う。6万ドルという超低予算で製作されたインディペンデント映画にも関わらず、全米興行収入がなんと1億4053万ドル、そして全世界興行収入に至っては2億4863万ドルという大ヒットを記録している。

それ以降、この手法を使った映画は実に数多く排出され続けており、まあ中には大失敗に終わっているものも少なからず見受けられるが・・・、有名どころを幾つかあげるとすれば、白石晃士の『ノロイ』(The Curse)、マット・リーヴスの『クローバーフィールド/HAKAISHA』(Cloverfield)、ジャウマ・バラゲロの『REC/レック』([Rec])などは、「まさに」な作品であると言えよう。

そんなファウンド・フッテージをベースとして製作されたこの「SiREN」であるが、予告編を観ていただいてわかる通り、完全なる純ホラー映画の形式へと進化している、まあそれを進化と呼ぶかどうかは本編を鑑賞するまでは想像の域を出ない。ちなみにあの尻尾の生えた謎の女性がこの映画の恐怖の核となることは明白であり、ベースとなっている『アマチュア・ナイト』にも同様の悪魔じみた女性が登場するのだが・・・。

SiREN
https://www.youtube.com/channel/UClsENv1ZLYkVWMcALDIva9A

まあ、ぼく個人としては、直感的に楽しむというのが予告編の存在意義だと思っているので、この段階で無駄に多くの解説を付け加えるのは野暮であろうし、その多くは予告編の中ですでに語られているはずであるから、本編に期待を寄せたいとだけ記しておこう。ただやはり気になるのはタイトルになっている『SiREN』という言葉、予告編の後半で上空に引きずりあげられる視点が伺えたが・・・、あるいは冒頭で少しだけ述べた「サイレン」の語源に、何か関連があるやも知れない。

SiREN
https://www.youtube.com/channel/UClsENv1ZLYkVWMcALDIva9A

いつの時代でも、美しい女性の誘惑の先には、快楽を超えた底知れぬ恐怖が潜んでいるからね、というわけで、この予告編の魅惑に惹き寄せられた方は、本編に体をゆだねて欲しい。

SiREN
http://www.imdb.com/title/tt4667854/

Writer

アバター画像
MujinaMujina Tsukishiro

普段はあまり摂取しないコーヒーとドーナツを、無駄に欲してしまう今日この頃。You know, this is - excuse me - a damn fine cup of coffee.