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『スパイダーマン:スパイダーバース』アカデミー賞授賞式に収まらなかったスタン・リーへの謝辞があった

スパイダーマン:スパイダーバース
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アカデミー賞の授賞式では、オスカー像を手にした者にひとつの試練が与えられる。それは、受賞者スピーチを90秒に収めなければならないというもの。必ずしも守られるわけではないルールだが、授賞式はそれほどタイトなスケジュールで進行している。時にはスピーチが終わっていなくとも、容赦なく退場のBGMが鳴り響くのだ。

第91回(2019年)アカデミー賞において、これが最大の壁となったのが、長編アニメーション賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』だ。ステージ上では製作総指揮のフィル・ロード&クリス・ミラー、監督のボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマンの5名がスピーチを行ったが、残念ながら、最後に話し始めたボブの言葉はBGMにまぎれてほぼ聞こえなかった。

しかしボブ監督は、この“放送されなかったスピーチ”で、「スパイダーマンの生みの親」である二人、2018年11月にこの世を去ったスタン・リーと、同じく2018年6月に死去したアーティストのスティーブ・ディッコへの謝辞を述べていたという。

壇上でのスピーチでは、最初にクリスがアカデミーやソニー・ピクチャーズ、映画に携わったキャスト&スタッフへの感謝を表明。つづいてフィルは、「子どもたちがこの映画を観て、“まるで僕みたいだ”とか、“私たちみたいにスペイン語を話してる”とか言ってくれていると聞いたとき、僕たちは成功したんだと思いました」と述べた。

ピーター監督は観客に感謝を述べ、「とにかく、みなさんに知ってほしかったんです。みなさんは力強い存在で、この世界にはみなさんが必要なんだと。僕たちのみんなが、みなさんのひとりひとりを頼りにしているんです」と語った。またロドニー監督は、「スタッフの全員を代表して、全員の家族に感謝を言いたいと思います。この映画を作る4年間、僕たちと一緒にいてくださったみなさんに。この映画はみなさんのものです」と話している。

残念ながら授賞式の中継ではスピーチの声が届かなかったものの、ボブ監督は、スパイダーマンを生んだ偉大なるクリエイターへの感謝を述べていたという。「スタン・リーとスティーブ・ディッコに感謝します。この映画すべてに影響を与えてくださり、そして、人は誰でもヒーローになれるということを信じさせてくれたお二人に」

IndieWireによれば、ボブ監督は舞台裏のインタビューでもスタン&スティーブの影響を口にしていたようだ。

「(スタン&スティーブの影響は)製作の最初からあったものです。フィルとクリスがトリートメント(物語の要約)をまとめてくれた時から、そのメッセージは描きがいのあるものでした。この映画は、観客に自分たちを信じろ、自分たちの隣人を信じろ、ポジティブであれ、世界を変えろと訴えかけています。導く者であれ、勇敢であれと。その精神は、スタン・リーとスティーブ・ディッコに由来するものです。

なお今回の授賞式では、追悼コーナーにてスタン・リーの名前と映像も登場している。

映画『スパイダーマン:スパイダーバース』は、2019年3月1日(金)・2日(土)・3日(日) IMAX先行上映。2019年3月8日(金)より全国ロードショー

『スパイダーマン:スパイダーバース』公式サイト:http://www.spider-verse.jp/site/

Source: Oscar, IW

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。