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『スパイダーマン:スパイダーバース』続編、前作完成前から始動していた ─ 『シャン・チー』脚本家、現在も改稿中

スパイダーマン:スパイダーバース
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アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)は、第91回アカデミー賞で長編アニメ映画賞に輝くなど、コミック映画でも屈指の高評価を受けた一作。2022年公開予定の続編には、それゆえ前作以上のハードルが課せられることになるだろう。もっとも製作陣は、前作が完成する以前から続編の脚本を練っていたそうで……。

製作のフィル・ロード&クリス・ミラーとともに続編の脚本を執筆するのは、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)のデイヴ・キャラハム。米The Hollywood Reporterでは、『スパイダーバース』続編に参加することになったきっかけと現在の製作状況を明かしている。発端は、デイヴが『スパイダーバース』の制作現場を訪れた際、フィル&クリスから“続編のアイデアが欲しい”と求められたことだった。

「(フィル&クリスから)スパイダーマンのアニメ映画を作っている、という話を聞いたんです。前作を作っているところだったので、どんなルックの作品になるのかは彼らにも言えなかった。だから、僕の方から“見に行くよ”と。簡単なスケッチが動くようなアニマティクス(映像コンテ)で、仮の声はありましたが、アニメーションのスタイルはありませんでしたね。映画の核は感じ取れましたが、あんなにすさまじい作品になるとは想像できませんでした。それから、いくつかアートを見せてもらって、二人を信頼したし、特別なものを作ろうとしているんだと思いました。“オーケー”と言ったら、“よし、続編のアイデアを出してもらえませんか”と言われて。」

デイヴは「前作が公開される1年前のことで、続編の作業としてはすごく変な滑り出しだった」と振り返っている。やむを得ないことだが、「自分が何をしているのか、前作が公開されるまでは外部の誰にもわからなかった」のだ。その後『スパイダーバース』は高い評価を受け、アカデミー賞を受賞。これを受けて、続編の製作は「ちょっとだけ軌道が変わった」という。

スパイダーマン:スパイダーバース

『スパイダーバース』続編はただいま製作の真っ只中にあるが、どうやら脚本チームの仕事はまだ終わっていないらしい。「今も作業は続いていて、フィル&クリスと一緒に書いているところ。時には三人で、時には一人で、また時には二人で。その時に動ける人が書くんです。[中略]映画の公開まで書き続けていると思う」とはデイヴの談。前作もギリギリまで脚本の改稿が続けられていたが、続編でもそのスタイルは変わらないらしい。

「フィルとクリスは許されるかぎり調整を続けます。二人は、“映画は常によりよいものにできる”という考え方の持ち主だから。僕はアニメを二本しかやっていないし、どちらも二人の作品[編注:もう一本は『アメリカ THE MOVIE』(2021)]。たぶん普通のやり方ではないと思うけれど、どちらもすごく長期間の作業で、脚本を書いてからいろいろ調整するし、同時にアートを見せてもらうし、彼らも挑戦する。脚本を進化させる作業に終わりはない、という感じです。」

こうしたスタイルは、デイヴにとっても大きなメリットがあったそうだ。続編の初稿をデイヴが執筆していたのは、ちょうどフィル&クリスが前作の仕上げにかかりきりになっていた頃のこと。「もちろん全力を尽くしたけれど、二人のスタイルは真似られない。今は二人の書き方を見られて本当にうれしいし、最高の出来だと思います」。

映画『スパイダーマン:スパイダーバース』続編(タイトル未定)は2022年10月7日に米国公開予定。監督は『ソウルフル・ワールド』(2020)のケンプ・パワーズ、前作美術監督のジャスティン・K・トンプソン、「ヴォルトロン」(2016-)のホアキン・ドス・サントスが務める。

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Source: The Hollywood Reporter

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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