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ウィル・スミス、『マトリックス』出演を断ったことは「全員のためになった」 ─ 代わりに『ワイルド・ワイルド・ウエスト』出演も「自慢にならない」

ウィル・スミス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28316676010/

キアヌ・リーブスの代表作であるSFアクション『マトリックス』は、もしかするとウィル・スミスの代表作になっていたかもしれない。企画当時、脚本・監督のウォシャウスキー兄弟(現:ウォシャウスキー姉妹)は、企画当初、主人公ネオ役にウィルを起用しようと考えていたのだ。

このたびウィルは自身のYouTubeチャンネルにて、自分が『マトリックス』を断った経緯を明かしている。映像の中で、ウィルは「自慢にならない話」だと口にしながら、それでも「全員のためになった」と言い切った。一体どういうこと…?

「天才かそうでないかは紙一重」

ウィルが『マトリックス』を断るまでには“前日譚”がある。『インデペンデンス・デイ』(1996)が大人気となったウィルは、「エイリアン俳優」と名指されるのを嫌がったために、『メン・イン・ブラック』(1997)のオファーをも一度断っていたというのだ。そこを説き伏せたのが、製作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグ。ウィルいわく「頼むから出てくれ、何も考えずに私の計画に乗ってくれ」と言われたという。

ウォシャウスキー兄弟がウィルのもとを訪れたのは、まさに『メン・イン・ブラック』の製作直後。当時、二人の監督作品は『バウンド』しかなかった。

「二人は『マトリックス』のプレゼンをしに来てくれました。今にしてみると二人は天才なんだけど、天才と、プレゼンで聞かされたことは紙一重だったというか。『マトリックス』のプレゼンはこんな感じでした。“想像してみてください。あなたは戦ってて、ジャンプする。そしたら空中で止まれるんですよ。ジャンプの途中で止まれる”
僕のほうが“もう一回言って”って言うと、二人は“あなたがジャンプの途中で止まってるところを、観客は360度から見られる。そういうカメラを開発します。だから観客は、あなたがジャンプの途中で止まってるのを丸ごと見られるんですよ!”。……『ワイルド・ワイルド・ウエスト』に出演しました。」

バリー・ソネンフェルド監督による“SFアクション西部劇”ともいうべき『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(1999)は、ゴールデンラズベリー賞で「最低作品賞」など8部門に輝いた。ウィルも「最低スクリーンカップル賞」と「最低主題歌賞」の2部門を受賞しており、この選択を「いい話じゃないね」と振り返っている。

かたや『マトリックス』では、ウィルの断ったネオ役をキアヌ・リーブスが引き受けた。同作は全3作からなるシリーズとなり、現在でも熱狂的なファンを多く抱えることで知られている。それでもウィルは、『マトリックス』を断ったこと自体は良い判断だったと考えているようだ。

「キアヌは完璧でした。(モーフィアス役の)ローレンス・フィッシュバーンも完璧でしたね。僕が出ていたら、僕は黒人なので、モーフィアスが黒人じゃなかったんだと思います。彼らはヴァル・キルマーを希望していましたから。僕がネオで、ヴァル・キルマーがモーフィアス。たぶん大失敗だったんじゃないかな、僕がぶち壊してたと思います。だから(断ったことは)全員のためになったんですよ。」

映画『マトリックス』シリーズのBlu-ray&DVDは発売中。作品実現の陰にウィルが断った事実があったかと思うと、もしかすると作品がさらに味わい深くなる、かもしれない?

ちなみにウィルの次回作は、ディズニーの同名アニメ映画を実写化する『アラジン(邦題未定、原題:Aladdin)』。演じるのはランプの魔人ジーニーだが、米国版予告映像には「思った以上にウィル・スミス本人」との反応が世界中から聞こえている状況だ。それでもウィルのことである、ここから観客の想像をひっくり返してくれるはず…!

Source: Will Smith

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。